バスダクト工事とは?施工手順と支持・接地・貫通部の規定
バスダクト工事は、電気設備技術基準の解釈第163条などに定められた規定に沿って、支持間隔・接続部・接地・貫通部の処理を守って施工します。要点は「支持点間隔を水平3m以下(垂直6m以下)にすること」「ダクト相互を堅ろうかつ電気的に完全に接続すること」「使用電圧300V以下はD種接地、300Vを超える場合はC種接地とすること」「床・壁の貫通部ではダクト相互やプルボックスとの接続を行わないこと」の4つです。この記事では、バスダクト工事(バスダクト、ブスバーダクトとも呼ばれます)の施工側の要点を、規定の根拠とあわせて整理します。
バスダクト工事
支持間隔
接地
貫通部
電気設備技術基準
竣工点検
バスダクト工事とは何か
バスダクト工事とは、帯状の導体(ブスバー)を金属製のダクトに収めた大電流幹線を、規定の支持・接続・接地方法に従って施工する工事区分です。
バスダクト(バスバーダクト)は、銅やアルミの帯状導体を絶縁して金属ダクトに収めた製品で、電気設備技術基準の解釈では「バスダクト工事」という独立した工事区分として、ケーブル工事や金属ダクト工事とは別に規定されています。数百A〜数千Aクラスの大電流幹線に使われ、ケーブルを束ねるより発熱・電圧降下の面で有利なため、変圧器からの幹線やデータセンターの受電幹線で採用が増えています。
前提
この記事は「施工・支持・接地・貫通部」という工事側の要点に絞っています。バスダクトとケーブル工事の選び方、金属ダクト工事との区分は金属ダクトとバスダクトの違いで解説しています。あわせて読むと工事区分の全体像がつかめます。
支持・固定の規定
バスダクトの支持点間隔は、水平施設で3m以下、垂直施設(取扱者以外が出入りしない場所に限る)で6m以下にする必要があります。
電気設備技術基準の解釈第163条では、バスダクト相互および電線相互を堅ろうかつ電気的に完全に接続すること、ダクトを堅ろうに取り付けることが求められています。具体的な支持点間隔の目安は次のとおりです。
バスダクトの支持点間隔の目安
| 施設方向 | 支持点間隔 | 条件 |
|---|---|---|
| 水平施設 | 3m以下 | 共通条件 |
| 垂直施設 | 6m以下 | 取扱者以外が出入りできない措置がある場所に限る |
バスダクトの支持点間隔の目安
水平施設
支持点間隔 3m以下
垂直施設(取扱者以外が出入りできない場所)
支持点間隔 6m以下
注意
支持点間隔は上限値であり、実際の設計では自重・熱伸縮・地震時の応答まで考慮してメーカー仕様に従う必要があります。上限いっぱいに支持を間引くと、たわみや共振が問題になることがあるため、現場の振動条件も確認してください。
施設方向による支持点間隔の違い(上限値)
熱膨張・伸縮への対応
長尺のバスダクトは通電による温度上昇で伸縮するため、支持方法とあわせて伸縮継手(フレキシブルジョイント)の要否を検討します。
金属は温度が上がると膨張し、下がると収縮します。バスダクトも定格電流で連続通電すると内部導体・外装とも温度が上昇し、長手方向にわずかに伸び縮みします。延長が長い幹線や、建屋の伸縮目地をまたぐ経路では、固定端と可動端の組み合わせや伸縮継手の挿入で逃がす設計が一般的です。支持点間隔の規定を守ることと、伸縮を逃がす設計は別の検討項目である点に注意してください。片方を満たしていても、もう片方を見落とすと、締結部に応力が集中して緩みや変形の原因になります。
注意
伸縮継手の要否や挿入位置はダクトの長さ・経路・設置環境によって変わるため、メーカーの設計資料に基づいて個別に検討する必要があります。「支持間隔さえ守れば伸縮は考えなくてよい」という判断は避けてください。
接続部の施工
ダクト相互の接続部は、導体・外装ともに堅ろうかつ電気的に完全に接続し、増し締めトルクをメーカー仕様どおりに管理する必要があります。
バスダクトは数mごとの定尺品をジョイント(接続部)でつないで長さを確保します。接続部は内部導体のボルト締結と外装ケースの接続の両方が必要で、締め付けトルク不足は接触抵抗の上昇・発熱の原因になります。初期トルクだけでなく、通電後の熱膨張・収縮を経た増し締め管理まで含めて施工計画に組み込むのが実務上の要点です。
接続部施工のチェックリスト
- ジョイント部のボルト・ナットをメーカー指定トルクで締結する
- 締結後にトルクレンチの記録を残す(検査成績書・竣工図書に添付)
- 外装ケースの接続(アース連続性含む)を導体接続と別に確認する
- 通電開始から一定期間後に増し締め点検を計画する
接地の規定
バスダクトの金属外装は、使用電圧300V以下でD種接地工事、300Vを超える場合はC種接地工事を施す必要があります。
バスダクトの外装(金属ダクト部分)は、感電防止のために接地が義務付けられています。低圧配電で広く使われる使用電圧区分では、300Vを境に接地種別が変わる点を図面・施工計画の両方で確認します。
バスダクトの接地種別
| 使用電圧 | 接地種別 |
|---|---|
| 300V以下 | D種接地工事 |
| 300V超過 | C種接地工事 |
バスダクトの接地種別
使用電圧 300V以下
D種接地工事
使用電圧 300V超過
C種接地工事
貫通部の扱い
バスダクトが床・壁を貫通する部分では、ダクト相互やプルボックスとの接続を行ってはならないと定められています。
防火区画を貫通する配線・配管設備には、火災時の延焼を防ぐための規定があります。バスダクト工事でも、貫通部そのものをジョイント(接続点)にすることは認められていません。接続部は貫通部を避けた位置に設け、貫通部には区画の耐火性能を維持するための防火措置(専用の貫通キットなど)を施工します。
貫通部の考え方(図解)
区画A 区画B
┌───────┐ 防火区画壁 ┌───────┐
│バスダクト├──┼[貫通部:接続禁止]┼──┤バスダクト│
└───────┘ │ └───────┘
ジョイントは貫通部を
避けた位置に設ける
竣工時の点検
竣工検査では全回路の絶縁抵抗を測定し、施工直後の乾燥状態であれば500Vメガーで100MΩ以上が目安になります。
バスダクト工事が完了したら、プラグインブレーカーなど接続機器を切り離したうえで、線間・対地間の絶縁抵抗を測定します。施工直後の乾燥雰囲気であれば100MΩ以上が通常の目安とされ、これを下回る場合は接続不良・接地の連続性不良・締付不足などの施工不良を疑って原因を切り分けます。
コツ
竣工時の絶縁抵抗測定値は、その後の経年劣化を追う際の基準値になります。測定日・測定条件(温湿度)とあわせて検査記録に残しておくと、将来のサーモグラフィ点検や増し締め点検のときに異常値を判断しやすくなります。
2026年の需要動向
データセンターの受電容量増加と変圧器の納期逼迫を背景に、大電流幹線としてのバスダクト需要は2026年も拡大が続いています。
最新の状況(2026年時点)
国内のデータセンター市場拡大や大型変圧器の納期逼迫(発注から納品まで数年待ちとされる事例も報じられています)を背景に、受配電インフラとしてのバスダクトの採用が増えています。業界団体の集計でも、バスダクトの納入実績が過去と比べて大きく伸びているとの報告があり、大電流・将来増設を見込む幹線での採用が進んでいます。設計・施工の現場では、支持間隔や接地・貫通部といった基本規定を守ったうえで、将来の増設余地(増設用ジョイントの位置など)まで見込んだ計画が求められる場面が増えています。
発注前に確認しておきたいこと
バスダクト本体の施工計画とあわせて、内部導体である銅ブスバーの仕様(板厚・めっき・接続部形状)を早い段階で確認しておくと手戻りが減ります。
バスダクトの施工計画を立てる際は、支持間隔・接地・貫通部といった外装側の規定に加えて、内部に収める銅ブスバー(導体)の仕様も重要です。接続部の形状や穴ピッチ、めっきの種類は、現場での締結トルク管理や接触抵抗にも影響します。当社はブスバーとはで紹介している銅ブスバーの加工技術を活かし、バスダクト内部の銅導体の製作・めっき手配についてご相談いただけます。図面がない段階からのご相談も可能です。
施工側で確認すること
- 支持点間隔(水平3m以下・垂直6m以下)が守られているか
- 接続部の締結トルクと記録が残っているか
- 接地種別(D種/C種)が電圧区分に合っているか
- 貫通部に接続点を設けていないか
発注側(導体仕様)で確認すること
- 板厚・幅・穴ピッチが図面と一致しているか
- めっき種別(錫・ニッケルなど)と厚みの指定
- 接続部の形状・長穴の有無
- 材料証明・検査成績書の要否
よくあるご質問
バスダクト工事の支持点間隔はどれくらいですか?
水平に施設する場合は3m以下、垂直に取り付ける場合は6m以下(取扱者以外が出入りできない措置がある場所に限る)が目安です。実際の設計では自重や振動条件も考慮してメーカー仕様に従います。
バスダクトの接地はD種とC種のどちらですか?
使用電圧300V以下であればD種接地工事、300Vを超える場合はC種接地工事を施すことが定められています。設備の使用電圧区分を確認したうえで選定します。
バスダクトが床や壁を貫通する部分で気をつけることは?
貫通部分でダクト相互やプルボックスとの接続を行うことは認められていません。接続部は貫通部を避けた位置に設け、防火区画を貫通する場合は専用の防火措置を施工します。
竣工検査で絶縁抵抗はどのくらいあれば合格ですか?
施工直後の乾燥雰囲気であれば、500Vメガーで100MΩ以上が通常の目安です。これを下回る場合は接続不良や接地の連続性不良などの施工不良を疑い、原因を調査します。
バスダクト工事と金属ダクト工事は何が違いますか?
金属ダクト工事は絶縁電線をまとめて収める配線方式であるのに対し、バスダクト工事は帯状導体(ブスバー)そのものを収めた大電流幹線システムで、対象・規格ともに別の工事区分です。
