ケーブルのsq(スケア)を銅バーに換算する方法|断面積と許容電流の早見表
ケーブルの「sq(スケア)」表示を銅バー(銅ブスバー/バスバー)の寸法に置き換えたいとき、最初につまずくのは単位の対応です。結論から言うと、sqはmm²とほぼ同じ数値として扱えます。ただし断面積が同じでも、ケーブルと銅バーでは許容電流の目安が変わるため、「同じ断面積=同じ電流」と考えると過小・過大設計になりがちです。この記事では、sqからmm²への読み替え、代表的なケーブルサイズに対応する銅バー寸法の早見表、そして断面積をそろえた後に必ず確認すべき許容電流の考え方を順に解説します。
銅ブスバー
sq換算
断面積
許容電流
ケーブル
平角銅
この記事の内容
sq(スケア)とは何か、mm²とどう対応するか
sq(スケア)は電線・ケーブルの導体断面積を表す単位で、数値としてはmm²とほぼ同じものを指します。
sqは英語の「square(平方)」に由来する電線業界の慣用表記で、「100sq」は導体断面積が約100mm²であることを意味します。日本の電線カタログ(CVケーブルなど)はほぼ全てsq表記で統一されているため、まずは「sqの数字=mm²の数字」と読み替えれば、銅バー側の断面積計算にそのまま使えます。
前提
より線(撚り線)ケーブルの場合、素線間のわずかな隙間がある分、公称断面積と「素線を全部くっつけたときの実面積」は厳密には一致しませんが、電気設計上はカタログの公称sq値(mm²)をそのまま使って問題ありません。
ケーブルsqから銅バー寸法を選ぶ手順
必要な断面積(sq=mm²)を決めたら、板厚×幅の組み合わせが同じmm²になる銅バー寸法を選び、そのうえで電流密度を確認します。
手順
- 置き換えるケーブルのsq値(公称断面積)を確認する
- ケーブルが複数本(並列)なら本数分の合計断面積を出す
- 合計断面積と同じ、またはやや余裕を見たmm²になる板厚×幅の組み合わせを選ぶ
- 選んだ寸法で許容電流を電流密度から計算し直し、不足していれば寸法を一段上げる
- 接続部(端子・ボルト穴)の形状を図面に落とし込む
最後の「許容電流を計算し直す」工程が抜けると、断面積だけ合わせて電流が不足する、あるいは逆に必要以上に太い銅バーを選んでコストが上がる、という失敗につながります。許容電流の求め方自体はブスバーの断面積を電流から逆算する手順で詳しく解説しているので、本記事では「ケーブルからの置き換え」という起点に絞って進めます。
代表的なsq→銅バー寸法の早見表
よく使われるケーブルsqに対して、同じ断面積になる銅バー寸法の組み合わせ例は次のとおりです。
ケーブルsq → 銅バー寸法(同一断面積の組み合わせ例)
| ケーブルsq | 断面積 | 銅バー寸法(厚×幅)の例 |
|---|---|---|
| 38sq | 38mm² | 2mm×20mm(40mm²) |
| 60sq | 60mm² | 3mm×20mm(60mm²) |
| 100sq | 100mm² | 4mm×25mm(100mm²) |
| 150sq | 150mm² | 5mm×30mm(150mm²) |
| 200sq | 200mm² | 5mm×40mm(200mm²) |
| 100sq×2本並列 | 200mm² | 5mm×40mm(200mm²) |
| 250sq×2本並列 | 500mm² | 10mm×50mm(500mm²) |
ケーブルsq → 銅バー寸法(同一断面積の組み合わせ例)
38sq(38mm²)
銅バー 2mm×20mm(40mm²)
60sq(60mm²)
銅バー 3mm×20mm(60mm²)
100sq(100mm²)
銅バー 4mm×25mm(100mm²)
150sq(150mm²)
銅バー 5mm×30mm(150mm²)
200sq(200mm²)
銅バー 5mm×40mm(200mm²)
100sq×2本並列(200mm²)
銅バー 5mm×40mm(200mm²)
250sq×2本並列(500mm²)
銅バー 10mm×50mm(500mm²)
注意
上の表は「断面積をそろえるための組み合わせ例」であり、そのまま流用できる完成寸法ではありません。実際の板厚・幅は入手性のよい規格寸法(厚み2/3/4/5/6/8/10mmなど)に合わせて調整し、次章の許容電流の考え方で最終チェックしてください。
断面積が同じでも許容電流が違う理由
ケーブルと銅バーでは設置条件・放熱条件が異なるため、同じmm²でも許容電流の目安値はそのまま使えません。
ケーブルの許容電流は、絶縁体で覆われたより線を前提に、ダクト収容や多条敷設による温度上昇を見込んで決められています。一方、銅バー(裸導体)は空気中に露出して使われることが多く、表面からの自然放熱を前提に電流密度の目安が設定されます。一般的に銅バーの設計では、定格電流帯によって次のような電流密度(断面積1mm²あたりの許容電流の目安)が使われます。
銅バーの電流密度の目安(連続通電・自然冷却の場合)
| 定格電流の目安 | 電流密度の目安 |
|---|---|
| 〜100A程度 | 2.0〜2.5A/mm² |
| 〜225A程度 | 1.8〜2.0A/mm² |
| 〜400A程度 | 1.5〜1.8A/mm² |
| 400A超 | 1.2〜1.5A/mm² |
銅バーの電流密度の目安(連続通電・自然冷却の場合)
〜100A程度
電流密度 2.0〜2.5A/mm²
〜225A程度
電流密度 1.8〜2.0A/mm²
〜400A程度
電流密度 1.5〜1.8A/mm²
400A超
電流密度 1.2〜1.5A/mm²
この目安は設置環境(盤内の密閉度、周囲温度、相間距離、塗装の有無など)によって上下するため、あくまで初期検討用の数値です。並べて比較すると、小電流域ではケーブル・銅バーとも断面積1mm²あたり2A台で近い値になりますが、電流が大きくなるほど銅バー側の電流密度は下がっていきます。これは放熱面積に対して断面積(=発熱源の体積)が相対的に増えるためで、「大電流ほど断面積に対する余裕を多めに見る」という設計の基本と一致します。
前提
交流大電流域では表皮効果・近接効果により、板厚を増やしても電流容量が比例して伸びない場合があります。目安の電流密度表はこの効果を織り込んだ経験値であり、理論計算だけで厚みを決めると実力が出ないことがあります。
置き換え時に図面・発注で確認すべき点
断面積と電流密度を合わせても、接続部の形状と設置環境まで図面に反映しないと手戻りが起きます。
図面で指定すること
- 板厚・幅・長さ(展開長を含む)
- 端子接続部の穴径・穴ピッチ
- 曲げ加工の有無とR寸法
- めっき(錫・ニッケルなど)の要否
設置条件で確認すること
- 盤内か屋外か、周囲温度の想定
- 相間・対地の絶縁距離が確保できるか
- 並列本数と本数間の隙間(放熱経路)
- 支持金具・碍子の取付ピッチ
とくに並列本数を増やして断面積を稼ぐ場合、バスバーは何アンペアから検討するかでも触れているとおり、枚数を増やしても電流配分が均等にならず、容量が頭打ちになることがあります。置き換え後の並列枚数は、単純な合計断面積ではなく実際の電流配分を見て決めてください。
当社では、ブスバー(バスバー)とは何かという基本仕様の相談段階から、ケーブルからの置き換え検討にも対応しています。手元に残っている電線図面やsq値だけでも、寸法選定の相談が可能です。
2026年の調達環境で意識しておきたいこと
2026年は銅相場が高値圏で推移しており、特殊寸法の板厚・幅は流通在庫が薄く手配に時間がかかりやすい状況です。
最新の状況(2026年時点)
2026年は銅建値が1月時点の2,130千円/トン前後から、半ばには2,300千円台まで上昇する局面があり、LME銅も史上最高値圏で推移しました。価格そのものに加えて、メーカー・商社が材料在庫を厚く持ちにくくなっている点が実務への影響として大きく、規格外の板厚・幅を選ぶと手配日数が延びやすくなっています。ケーブルからの置き換えで寸法を決める際は、早見表の数値をそのまま使うのではなく、流通しやすい標準板厚(2/3/4/5/6/8/10mmなど)に寄せて設計すると、納期・コストの両面で有利になります。
よくあるご質問
sqとmm²は同じ数値と考えてよいですか?
はい。電線・ケーブルのsq(スケア)表記は導体の公称断面積を示すもので、数値としてはmm²とほぼ同じです。100sqなら断面積約100mm²として銅バーの寸法検討に使えます。
100sqのケーブル2本を銅バーに置き換えるなら何mm×何mmになりますか?
100sq×2本で合計断面積は約200mm²です。例えば5mm×40mmの銅バー(200mm²)が断面積上の目安になりますが、実際の電流値で電流密度を再計算し、必要なら板厚・幅を一段上げて余裕を確保してください。
断面積をそろえれば、ケーブルと同じ電流を流せますか?
断面積が同じでも、ケーブルと銅バーでは放熱条件が異なるため許容電流の目安は変わります。銅バーは電流が大きくなるほど電流密度の目安値が下がる傾向があるため、断面積合わせだけで判断せず電流密度から計算し直す必要があります。
並列本数を増やせば、その分だけ電流容量を増やせますか?
枚数を単純倍した分だけ容量が伸びるわけではありません。並列枚数が増えるほど内側の枚数に電流が流れにくくなり、容量の伸びは頭打ちになります。並列化で断面積を稼ぐ場合は、電流配分を踏まえた枚数設計が必要です。
置き換え後の寸法は規格寸法に合わせたほうがよいですか?
はい。計算上ぴったりの寸法よりも、流通している標準板厚・標準幅に近い寸法を選ぶほうが、材料の手配日数とコストの両面で有利です。2026年は銅相場の高値と材料在庫の薄さから、特殊寸法ほど納期が延びやすい状況です。
