施工・保守

銅ブスバーの絶縁抵抗測定|メガーの判定基準と低下原因

銅ブスバー(バスバー)まわりの絶縁抵抗測定は、絶縁抵抗計(メガー)を使い、使用電圧に応じた判定基準値と比較して良否を判断します。低圧回路では電気設備技術基準第58条で0.1〜0.4MΩ以上という最低基準が定められており、高圧設備では年次点検で測定値を「良」「要注意」「不良」の3段階に分けて管理するのが実務の標準です。この記事では、判定基準値の読み方、測定手順、絶縁抵抗が下がる原因と対策を、発注者・保守担当の目線で整理します。

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電気設備技術基準
高圧受電設備
点検

絶縁抵抗測定(メガー)とは何を確認する検査か

絶縁抵抗測定は、導体と大地(またはほかの導体)の間にどれだけ電流が漏れにくいかを数値で確認する検査です。

銅ブスバーは銅という導体そのものではなく、それを支える支持がい子・絶縁カバー・絶縁物の劣化や汚損が問題になります。配電盤・受配電設備の中でブスバー(バスバー)は充電部がむき出しに近い状態で配置されることが多く、支持がい子や周囲の絶縁物が汚損・吸湿すると、本来流れないはずの漏れ電流が増え、感電や地絡事故、最悪の場合は焼損につながります。絶縁抵抗測定は、この「漏れにくさ」を絶縁抵抗計(メガー)で数値化し、基準値と比較して良否を判定する検査です。

絶縁抵抗測定は新設時の竣工検査だけでなく、設置後も年次点検・定期点検で繰り返し行う検査です。銅ブスバーそのものは経年劣化しにくい一方、周囲の支持がい子・絶縁物は使用環境(粉塵・湿度・温度変化)の影響を受けて徐々に性能が落ちていくため、「一度測って終わり」ではなく推移を追う検査として位置づけることが実務上重要です。

前提

絶縁抵抗測定は必ず無停電状態(回路を開放し、検電器で無電圧を確認した状態)で行います。通電中の測定は機器破損・感電の原因になるため厳禁です。

低圧回路の判定基準値(電気設備技術基準第58条)

低圧回路(対地電圧300V以下)の絶縁抵抗は、電気設備技術基準第58条により0.1MΩ・0.2MΩ・0.4MΩの3区分で最低基準が定められています。

配電盤・分電盤内の銅ブスバーが属する低圧回路では、使用電圧と対地電圧の組み合わせで以下の最低基準が決まっています。これを下回ると法令上「不良」で、使用停止・是正が必要です。

低圧回路の絶縁抵抗判定基準(電気設備技術基準第58条)

使用電圧の区分 対地電圧 絶縁抵抗値
300V以下 150V以下 0.1MΩ以上
300V以下 150V超 0.2MΩ以上
300V超 ― 0.4MΩ以上

低圧回路の絶縁抵抗判定基準(電気設備技術基準第58条)

300V以下 / 対地電圧150V以下

0.1MΩ以上

300V以下 / 対地電圧150V超

0.2MΩ以上

300V超

0.4MΩ以上

低圧回路の測定には一般的に500Vのメガーが使われます。これらの数値は「これを下回ると法令違反になる」という最低ラインであり、実運用ではこれより高い目標値(数MΩ以上)を自社基準として設定している現場も多くあります。基準ぎりぎりの値が出た場合は、是正前提の「要注意」として扱うのが実務的です。

高圧受電設備の判定基準値(年次点検の目安)

高圧・特別高圧には電気設備技術基準上の絶縁抵抗の数値規定がなく、年次点検では測定電圧ごとに「良」「要注意」「不良」の3段階で判定するのが実務の目安です。

高圧・特別高圧の電路や機器については、低圧のような絶縁抵抗の数値基準は電気設備技術基準にはなく、新設時には絶縁耐力試験(JEAC8001)が規定されています。一方、既設設備の年次点検では絶縁耐力試験ではなく絶縁抵抗測定を行い、測定電圧に応じた目安値で管理するのが一般的です。

高圧受電設備の年次点検における絶縁抵抗の目安(測定電圧別)

測定電圧 良 要注意 不良
5,000V 5,000MΩ以上 500MΩ以上5,000MΩ未満 500MΩ未満
10,000V 10,000MΩ以上 1,000MΩ以上10,000MΩ未満 1,000MΩ未満

高圧受電設備の年次点検における絶縁抵抗の目安(測定電圧別)

測定電圧 5,000V

良:5,000MΩ以上 / 要注意:500〜5,000MΩ / 不良:500MΩ未満

測定電圧 10,000V

良:10,000MΩ以上 / 要注意:1,000〜10,000MΩ / 不良:1,000MΩ未満

注意

この目安値は高圧受電設備規程などに基づく実務上の運用値であり、低圧のような法令上の数値基準ではありません。実際の判定は、設備の経年数・前回測定値との比較・季節(湿度)条件も合わせて、電気主任技術者や保安管理契約先の判断に従ってください。

測定の手順と安全上の注意

絶縁抵抗測定は、無電圧確認→アース側の接続→測定→放電確認、の順を必ず守ります。

絶縁抵抗測定の基本手順

  • 対象回路のブレーカーを開放し、検電器で無電圧であることを確認する
  • 絶縁抵抗計のアース側リード(ワニ口クリップ)を確実に接地端子へ接続する
  • 測定電圧(低圧:主に250V・500V/高圧:5,000V・10,000Vなど)を対象に合わせて選ぶ
  • 測定リードを対象の導体に当て、安定するまで測定を続ける
  • 測定後は測定スイッチを切り、対象物に残った電荷を放電し、放電完了を確認してからリードを外す

注意

ケーブルや機器が接続されたままの状態で高い測定電圧をかけると、制御機器や電子部品を破損させることがあります。測定対象の範囲と、接続されたままでよい機器かどうかを事前に確認してください。

絶縁抵抗が低下する原因とブスバー周辺での対策

絶縁抵抗の低下は、支持がい子・絶縁物の汚損と吸湿、トラッキング現象が主な原因です。

銅ブスバー自体は劣化しにくい導体ですが、それを支える支持がい子や絶縁カバーは経年とともに汚損し、絶縁性能が落ちていきます。主な原因は次のとおりです。

絶縁抵抗が下がる主な原因

  • 支持がい子・絶縁物表面への粉塵・塩分の付着
  • 結露・高湿度による吸湿
  • 汚損物質の吸湿が進んだ状態での微小な漏れ電流の発生(トラッキング現象)
  • 絶縁カバー・粉体塗装の経年劣化やひび割れ

現場でできる対策

  • 支持がい子・絶縁部の定期清掃(特に湿度が高い時期の前)
  • 盤内の防塵・防湿対策(パッキン劣化の点検含む)
  • 絶縁抵抗測定を定期点検に組み込み、前回値との推移で傾向管理する
  • 絶縁カバー・粉体塗装の劣化が見られたら早めに更新を検討する

コツ

絶縁抵抗は単発の値だけでなく、前回・前々回の測定値との推移で見ると異常の兆候を早く捉えられます。数値が基準値を上回っていても、急激に下がっている場合は汚損・劣化が進行しているサインです。

接触抵抗測定・サーモグラフィ点検との違い

絶縁抵抗測定は「漏れにくさ」、接触抵抗測定は「締結部の電気的な繋がりやすさ」、サーモグラフィ点検は「発熱の有無」を確認する、それぞれ別の検査です。

ブスバーまわりの点検には複数の測定手法があり、目的が異なるため使い分けが必要です。

ブスバー点検で使う主な測定・検査手法の違い

手法 確認すること 主な対象
絶縁抵抗測定(メガー) 導体と大地間の漏れにくさ 支持がい子・絶縁物
接触抵抗測定(マイクロオーム計) 締結部の電気的な繋がりやすさ ボルト締結部・接続部
サーモグラフィ点検 通電時の異常発熱の有無 締結部・接続部(活線状態)

ブスバー点検で使う主な測定・検査手法の違い

絶縁抵抗測定(メガー)

対象:支持がい子・絶縁物 / 確認:漏れにくさ

接触抵抗測定(マイクロオーム計)

対象:ボルト締結部 / 確認:繋がりやすさ

サーモグラフィ点検

対象:締結部(活線時) / 確認:異常発熱の有無

締結部の緩みによる発熱が心配な場合は接触抵抗測定やサーモグラフィ点検、支持がい子・絶縁カバーの汚損・劣化が心配な場合は絶縁抵抗測定、というように使い分けます。年次点検ではこれらを組み合わせて実施するのが一般的です。

前提

品質管理の考え方として、当社では加工段階での板厚・穴ピッチなどの検査成績書に加え、設置後の点検項目も含めて図面確認時にご相談いただけます。

よくあるご質問

絶縁抵抗測定で基準値を下回った場合、どうすればよいですか

まず対象箇所を無電圧状態で目視し、汚損・吸湿・ひび割れがないか確認します。清掃や乾燥で改善する場合もありますが、改善しない場合は絶縁カバー・支持がい子の更新を検討し、電気主任技術者や保安管理契約先に相談してください。

絶縁抵抗測定はどのくらいの頻度で行うべきですか

高圧受電設備は年次点検で年1回の測定が一般的です。低圧の分電盤・制御盤も、設置環境(湿度・粉塵が多い場所など)に応じて定期的な測定を組み込むことが推奨されます。

低圧と高圧で判定基準の性質が違うのはなぜですか

低圧は電気設備技術基準第58条で数値基準が法令として定められていますが、高圧・特別高圧は同基準に数値規定がなく、高圧受電設備規程などに基づく実務上の目安値(良・要注意・不良の3段階)で管理するためです。

絶縁抵抗測定と接触抵抗測定はどちらを先にやるべきですか

決まった順序はありませんが、どちらも無停電状態での測定が基本のため、停電作業の機会にまとめて実施するのが効率的です。発熱の懸念がある場合は接触抵抗測定やサーモグラフィ点検、絶縁劣化の懸念がある場合は絶縁抵抗測定を優先します。

銅ブスバー自体の絶縁抵抗を測定する意味はありますか

銅ブスバー(バスバー)自体は導体であり絶縁性能を持たないため、測定対象は銅バーそのものではなく、それを支える支持がい子・絶縁カバー・絶縁物です。銅バーと大地(または他相)の間にある絶縁物の状態を、銅バーを測定端子として評価します。

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