C1100BB-1/2Hの読み方|銅の材料記号を分解して解説
「C1100BB-1/2H」のような材料記号は、合金番号(材質)+形状記号(かたち)+質別記号(硬さ)という3つの情報を1行にまとめたものです。手配時にこの記号を読み違えると、板厚は合っていても質別違い・形状違いの材料が届くことがあります。この記事では、記号を分解して読む方法と、発注時に取り違えやすいポイントを整理します。2026年9月時点の JIS H 3100(2018年改正版)・JIS H 3140(2018年改正版)の内容にもとづいて解説します。
C1100
材料記号
質別
JIS H3100
JIS H3140
ブスバー(バスバー)
手配ミス防止
この記事の内容
銅ブスバーの材料記号は何を表しているか
材料記号とは、合金番号・形状記号・質別記号を1行につなげて材料を特定する表記方法です。
JIS H 3140(銅ブスバー)では、材料記号の構成を「表1の種類の記号のあとに質別を示す記号を付けて製品記号とする」と定めています。実際の表記例が「JIS H 3140 C 1020 BB-1/2H」です。この1行は次の3つの情報を順番に並べたものです。
材料記号の3要素
C 1100 BB -1/2H └合金番号┘ └形状記号┘ └質別記号┘ (材質) (かたち) (硬さ)
C1100は「タフピッチ銅」を表す合金番号で、銅の純度99.90%以上・酸素0.02〜0.05%程度の一般的な銅材です。C1020(無酸素銅)と混同されやすいので、まず合金番号の4桁を確認することが最初のチェックポイントになります。合金番号どうしの違いは、当社の別記事「ブスバーとは」でも扱っています。
形状記号(P・R・BB)の意味と使い分け
形状記号は製品のかたちを表し、P(板)・R(条)・BB(ブスバー)などがあります。
JIS H 3100(銅及び銅合金の板及び条)とJIS H 3140(銅ブスバー)は、同じ合金番号でも形状記号によって適用される規格・寸法許容差が変わります。取り違えると「板として届いた材料の公差が、ブスバーとして期待していた公差と合わない」という事態になります。
主な形状記号(PC版)
| 記号 | 読み方 | 意味 | 適用規格 |
|---|---|---|---|
| P | プレート | 板(平板・小板) | JIS H 3100 |
| R | リボン | 条(コイル状の長尺材) | JIS H 3100 |
| BB | ビービー | ブスバー(バスバー) | JIS H 3140 |
主な形状記号(スマホ版)
P(プレート)
板(平板・小板)/JIS H 3100
R(リボン)
条(コイル状の長尺材)/JIS H 3100
BB(ビービー)
ブスバー(バスバー)/JIS H 3140
注意:PとBBは見た目が似ていても規格が違う
板厚・幅だけを見ると「P(板)」と「BB(ブスバー)」は似た形状に見えますが、寸法許容差や質別の区分がそれぞれの規格で個別に決められています。図面や見積依頼では「C1100の板」ではなく「C1100BBのブスバー」のように、形状記号まで含めて伝えることが取り違え防止になります。
質別記号(O・1/4H・1/2H・H)の意味
質別記号は加工硬化の度合いを表し、加工率が上がるほど硬く・強く、曲げにくくなります。
質別は「どれだけ圧延で加工硬化させたか」を表す記号です。焼きなまし後の状態がO(軟質)、そこから圧延で加工硬化を進めるにつれて1/4H・1/2H・H(硬質)の順に硬く・強くなっていきます。数値は伸銅品メーカーの公開資料等で示される目安で、ロットや板厚によって幅があります。
質別記号ごとの目安(PC版)
| 質別 | 状態 | 加工率の目安 | 引張強さの目安 |
|---|---|---|---|
| O | 軟質(焼なまし後) | 0% | 195N/mm²以上 |
| 1/4H | 1/4硬質 | 約20% | 215〜285N/mm² |
| 1/2H | 1/2硬質 | 約40% | 235〜315N/mm² |
| H | 硬質 | 約80〜90% | 1/2Hより高い |
質別記号ごとの目安(スマホ版)
O(軟質・焼なまし後)
加工率0% / 引張強さ195N/mm²以上
1/4H
加工率約20% / 引張強さ215〜285N/mm²
1/2H
加工率約40% / 引張強さ235〜315N/mm²
H(硬質)
加工率約80〜90% / 1/2Hより高強度
質別ごとの曲げ加工性・選び方の詳細は、既存記事「硬銅と軟銅の違いは?ブスバーの質別O材・1/2H・H材の選び方」で扱っているので、そちらもあわせて確認してください。この記事では記号そのものの読み方に絞ります。
C1100BB-1/2Hを実際に分解して読む
C1100BB-1/2Hは「タフピッチ銅のブスバーで、1/2硬質(加工率約40%)」という意味です。
手配でよく見る「C1100BB-1/2H」を分解すると次のようになります。
分解の手順
- ①合金番号を読む:C1100 → タフピッチ銅(純度99.90%以上)
- ②形状記号を読む:BB → ブスバー(JIS H 3140が適用)
- ③質別記号を読む:1/2H → 1/2硬質(加工率約40%、O材より硬く曲げにくい)
同様に「C1020P-O」であれば、無酸素銅(C1020)の板(P)で、質別は軟質(O)という意味になります。3つの記号のどこか1つでも読み違えると、材質・形状・硬さのいずれかが変わってしまうため、見積書や納品書に記号が書かれていたら、まず3分割して確認する習慣をつけることをおすすめします。
コツ:記号を声に出して3分割する
「シーいちいちまるまる、ビービー、マイナス、にぶんのいちエイチ」のように、記号を合金番号・形状記号・質別記号の3つに区切って読み上げると、聞き違い・入力違いに気づきやすくなります。電話やメールでの口頭確認にも有効です。
JIS H3100とJIS H3140の関係
JIS H3100は銅・銅合金の板と条を定める親規格、JIS H3140はそこから独立したブスバー専用の規格です。
JIS H 3100(銅及び銅合金の板及び条、2018年改正)は板(P)・条(R)などの一般的な形状を対象とする規格です。一方でJIS H 3140(銅ブスバー、2018年改正)は、電気導体として使うブスバー(BB)に特化した独立規格で、寸法許容差や質別の区分がブスバー向けに個別に定められています。同じC1100・C1020という合金番号を使っていても、「P(板)として発注するか」「BB(ブスバー)として発注するか」で参照する規格の表が変わる点に注意してください。両規格の項目ごとの違いは、既存記事「JIS H3100とH3140の違い|銅板・条とブスバー規格の読み方」でまとめて比較しています。
前提:規格番号は記号だけでは分からない
材料記号(例:C1100BB-1/2H)そのものにはJIS番号は含まれていません。見積書や図面に「JIS H 3140 C1100BB-1/2H」のように規格番号までセットで書いておくと、どちらの規格を参照すべきかが明確になり、他社への相見積りでも仕様のブレを防げます。
発注・図面での書き方と手配ミスを防ぐ注意点
図面には規格番号・合金番号・形状記号・質別記号をセットで書き、略称だけで伝えないことが手配ミス防止の基本です。
実務では「銅バーください」「C1100のブスバーで」のように略して伝わることがありますが、質別を指定しないと現場の標準在庫(多くは1/2Hが主流)で手配され、想定していた曲げ加工性と食い違うことがあります。図面・見積依頼には次の4項目をセットで書くことをおすすめします。
図面・見積依頼に書く4項目
- 規格番号(JIS H 3140 など)
- 合金番号(C1100 / C1020 など)
- 形状記号(BB / P / R)
- 質別記号(O / 1/4H / 1/2H / H)
注意:質別未指定は「標準品」で手配されることがある
質別を明記しない依頼では、加工会社側が標準的に流通している質別(1/2Hであることが多い)で見積・手配を進めることがあります。曲げ加工を予定している場合や、逆に高い強度が必要な場合は、質別記号を必ず明記してください。
加工方法との組み合わせ(曲げ・穴あけ・めっきなど)まで含めた手配の進め方は、当社の「加工技術」のページでも紹介しています。材料記号を正しく伝えられれば、見積り・手配の手戻りを減らせます。
よくあるご質問
C1100BB-1/2Hとはどういう意味ですか?
C1100(タフピッチ銅)+BB(ブスバーという形状)+1/2H(1/2硬質、加工率約40%)を組み合わせた材料記号です。合金番号・形状記号・質別記号の3つの情報を1行にまとめたものです。
P・R・BBの違いは何ですか?
いずれも銅材の形状記号で、Pは板、Rは条(コイル状の長尺材)、BBはブスバーを表します。同じ合金番号でも形状記号によって適用される規格(JIS H 3100かJIS H 3140か)や寸法許容差が変わります。
質別記号を指定しないとどうなりますか?
質別を明記しない場合、加工会社側で標準的に流通している質別(1/2Hであることが多い)で見積・手配が進むことがあります。曲げ加工の可否や必要な強度に関わるため、O・1/4H・1/2H・Hのいずれかを図面・見積依頼に明記することをおすすめします。
C1100とC1020の違いは記号のどこで分かりますか?
材料記号の最初の4桁(合金番号)で分かります。C1100はタフピッチ銅、C1020は無酸素銅で、酸素含有量と水素脆化への耐性が異なります。形状記号(BB/P/R)や質別記号はその後に続きます。
図面には記号をどこまで書けばよいですか?
規格番号(JIS H 3140など)・合金番号(C1100など)・形状記号(BB/P/R)・質別記号(O/1/4H/1/2H/Hなど)の4項目をセットで書くことをおすすめします。略称だけで伝えると、質別違いなど意図しない材料で手配されることがあります。
