銅とアルミの導電率比較:IACS換算で分かる断面積・重量の差
銅とアルミの導電率を数値で比べると、銅を100%IACSとしたときアルミは61%IACS程度です。同じ電流を流すには、アルミの断面積を銅の約1.64倍にする必要があります。一方で比重は銅がアルミの約3.3倍あるため、断面積を増やしても総重量では銅の半分程度に収まります。この記事では、この換算の考え方と、銅ブスバー(バスバー)の設計・調達でアルミをどう検討すべきかを数値で整理します。
銅
アルミ
導電率
IACS
断面積換算
ブスバー
バスバー
この記事の内容
銅とアルミの導電率の違い(%IACSとは)
%IACS(International Annealed Copper Standard)とは、20℃・抵抗率1.7241μΩ・cmの万国標準軟銅を100%とし、他の金属の導電率をその相対値で表す指標です。導電率は「電気の流れやすさ」の指標であり、値が高いほど同じ断面積・同じ長さでの電気抵抗が小さくなります。
前提
銅ブスバーに使われるタフピッチ銅(C1100)・無酸素銅(C1020)は、いずれも100%IACS前後の導電率を持ちます。一方、バスバー用途で使われるアルミ(A1050など)は61%IACS程度です。この差がすべての設計判断の出発点になります。
銅とアルミの物性比較
| 項目 | 銅(C1100目安) | アルミ(A1050目安) |
|---|---|---|
| 導電率 | 約100〜101%IACS | 約61%IACS |
| 抵抗率(20℃) | 約1.72μΩ・cm | 約2.82μΩ・cm |
| 比重 | 約8.96 | 約2.70 |
| 同重量単価の傾向 | 基準 | 銅よりおおむね低い(相場により変動) |
銅とアルミの物性比較
導電率
銅 約100〜101%IACS / アルミ 約61%IACS
抵抗率(20℃)
銅 約1.72μΩ・cm / アルミ 約2.82μΩ・cm
比重
銅 約8.96 / アルミ 約2.70
銅を100%IACSとすると、アルミは61%IACS程度で、抵抗率は銅の約1.64倍です。
同じ電流を流すのに必要な断面積の計算
導電率が低い分だけ、同じ抵抗値(=同じ電流容量)を得るにはアルミの断面積を大きくする必要があります。考え方はシンプルで、必要な断面積は導電率に反比例します。
たとえば、銅で幅30mm×厚さ3mm(断面積90mm²)のブスバーと同等の電流を流したい場合、アルミでは断面積を約148mm²程度まで大きくする計算になります。実際の板取りでは幅を広げるか厚みを増やすかで調整しますが、いずれにせよ**設置スペースが銅より大きくなる**点は設計初期段階で押さえておく必要があります。
注意
1.64倍という数値は理論値です。実際の送配電用アルミより線(ACSR)では、強度確保のための鋼心や、外径が大きくなることによる放熱性向上の効果もあり、実務上は1.4倍程度で運用される例もあります。ただし単体のブスバー形状ではこの副次効果を前提にできないため、設計では理論値の1.64倍を基準に、余裕を見て検討するのが安全です。
断面積が変われば、実際に使う板厚・幅の組み合わせも変わります。目安として、代表的な電流容量ごとに銅とアルミで必要になる断面積・寸法例を並べると次のようになります(いずれも周囲温度40℃、屋内配置を想定した目安値。実際の設計では設置条件・許容温度上昇を踏まえた確認が必要です)。
電流容量別・銅とアルミの断面積目安
| 電流容量目安 | 銅の断面積目安 | アルミの断面積目安(×1.64) |
|---|---|---|
| 150A | 約60mm²(20mm×3mm) | 約98mm²(25mm×4mm相当) |
| 250A | 約100mm²(25mm×4mm) | 約164mm²(30mm×5.5mm相当) |
| 400A | 約160mm²(40mm×4mm) | 約262mm²(50mm×5.5mm相当) |
電流容量別・銅とアルミの断面積目安
150A
銅 約60mm²(20×3mm) / アルミ 約98mm²(25×4mm相当)
250A
銅 約100mm²(25×4mm) / アルミ 約164mm²(30×5.5mm相当)
400A
銅 約160mm²(40×4mm) / アルミ 約262mm²(50×5.5mm相当)
電流容量が上がるほど、銅とアルミの寸法差(=必要な設置スペースの差)も大きくなります。
断面形状のイメージ
銅 [====================] 幅20mm ×厚3mm(断面積60mm²) アルミ[==========================] 幅25mm ×厚4mm(断面積98mm²・約1.64倍)
同じ150A級でも、アルミは幅・厚みの両方、またはどちらかを大きくする必要があります。盤内・機器内でスペースに制約がある場合は、この差が納まるかを先に確認してから材質を検討します。
断面積を増やしても軽くなる理由(重量比較)
断面積を1.64倍にしても、アルミの比重は銅の約3.3分の1しかないため、同じ電流容量で比べた総重量はアルミの方が軽くなります。目安として、同じ電流を流せるアルミブスバーの重量は、銅ブスバーの約半分です。
同一電流容量での重量比較(銅=100として指数化)
同じ電流容量で比べると、アルミブスバーの重量は銅ブスバーの約半分(49%程度)です。
コツ
重量を優先する用途(車載・可搬機器・大型構造物での支持荷重制限がある場合など)では、断面積が大きくなる分の設置スペースと、軽量化のメリットを天秤にかけて検討します。据置設備でスペースに余裕がある場合は、銅のまま断面積を抑える設計の方が施工性・接続部の点数を減らせることが多いです。
コスト・強度・接続部から見た使い分けの判断
導電率と重量だけで決められない理由が、コストと接続部の扱いです。次の観点をあわせて確認してから判断します。
アルミを検討する理由になりやすい点
- 重量単価が銅より低い傾向(相場により変動)
- 同一電流容量での総重量が軽い
- 大断面・長尺で運搬・支持の負担を下げたい場合
銅を選ぶ理由になりやすい点
- 設置スペースに制約があり断面積を増やせない
- 接続部の実績・信頼性を優先したい
- 異種金属接続(電食)対策の手間を避けたい
材料の呼び方にも違いがあります。銅ブスバーの材質はタフピッチ銅(C1100)・無酸素銅(C1020)として扱われることが多いのに対し、アルミバスバーではA1050・A1100など、JISのアルミニウム板材規格で管理される呼称が使われます。図面や見積依頼の段階で材質記号を取り違えると、想定と違う導電率のものが手配される原因になるため、材質記号は必ず明記して発注することが必要です。
注意
銅とアルミを直接ボルト締結すると、異種金属接触腐食(電食)により接続部の接触抵抗が経時的に悪化することがあります。アルミ側を検討する場合は、専用のバイメタル部材やめっきによる対策が必要になり、その分の設計・調達の手間もコスト差に含めて比較する必要があります。銅ブスバーへのめっきで対応方法の考え方を解説しています。
2026年の銅相場と、材料選定への影響
2026年に入り、銅相場は高値圏で推移しています。ロンドン金属取引所(LME)の銅3カ月先物は2026年9月7日に1トンあたり14,533ドルまで上昇し、同年1月29日につけた過去最高値(14,527.5ドル)を更新しました。国内建値も2026年9月1日改定で前回より2万円/トン上がり、高水準が続いています。データセンター向けの電力インフラ需要が、現物需給を下支えする材料の一つとされています。
2026年時点の動向
銅相場が高値圏で推移する局面では、アルミへの切り替え相談が増える傾向があります。ただし前述のとおり、断面積の増加・接続部対策・設置スペースの見直しが伴うため、**材料単価の差だけで判断せず、部材全体のコストと信頼性で比較する**ことをおすすめします。銅のまま断面積・板取りを見直してコストを抑える方法については銅ブスバーのメリットもあわせてご確認ください。
ブスバー(バスバー)の材質選定に迷う場合、まずブスバーとはで基本的な役割を確認したうえで、電流値・設置スペース・接続方法の3点を整理すると判断がしやすくなります。
よくあるご質問
銅とアルミの導電率の違いは%でいうとどれくらいですか?
銅を100%IACSとしたとき、バスバー用途で使われるアルミ(A1050など)は61%IACS程度です。抵抗率でいうと、アルミは銅の約1.64倍になります。
同じ電流を流すのに、アルミの断面積は銅の何倍必要ですか?
理論上は導電率の逆数にあたる約1.64倍です。実務では強度や放熱の条件を踏まえて、これを基準に余裕を見て設計します。
アルミ製バスバーは銅製より軽くなりますか?
同じ電流容量で比較すると軽くなります。アルミの比重は銅の約3割程度のため、断面積を1.64倍にしても総重量は銅の約半分(49%程度)に収まります。
銅ブスバーをアルミに置き換えるとコストは下がりますか?
材料の重量単価はアルミの方が低い傾向にありますが、断面積の増加による部材サイズの見直しや、異種金属接続(電食)対策が必要になるため、単純な単価比較だけでは判断できません。設置スペースや接続部の仕様まで含めて検討する必要があります。
銅とアルミの接続部で気をつけることは?
異種金属接触腐食(電食)が起きやすく、時間の経過とともに接触抵抗が悪化することがあります。バイメタル部材の使用やめっきによる対策をあらかじめ図面に指定しておくことが必要です。
