ブスバーの英語表記はbusbar?母線との対応関係を整理
海外の図面や仕様書に “busbar” や “bus bar” と書かれていて、これは日本語の「ブスバー(バスバー)」や「母線」と同じものなのか迷ったことはないでしょうか。結論から言うと、busbar・bus bar・母線はいずれも同じ導体を指す言葉で、綴りや用語が違うのは英語表記のゆれと、日英の用語の対応関係によるものです。この記事では、英語表記の違いと、JIS・JEM(配電盤・制御盤用語)での「母線」との対応を整理します。
ブスバー
バスバー
busbar
bus bar
母線
英語表記
JEM 1115
この記事の内容
busbar・bus bar・母線の対応関係(結論)
busbar・bus bar・bus-barは英語表記のゆれであり同じ導体を指す。日本語では「母線」が対応する専門用語、「ブスバー(バスバー)」は英語の音をそのまま取り入れた通称にあたる。
前提
電気設備の分野で扱う「銅の帯状導体で大電流を流すもの」を指す言葉は、英語では busbar(またはbus bar)、日本語では「母線」または「ブスバー(バスバー)」と呼ばれます。指しているモノは同じでも、英語の綴りのゆれと、日本語での専門用語・通称という2つの軸で表記が分かれています。
表記の対応関係
| 言語 | 表記 | 位置づけ |
|---|---|---|
| 英語 | busbar | 現在の標準表記(1語) |
| 英語 | bus bar | 従来の表記(2語・辞書に併記あり) |
| 英語 | bus-bar | ハイフン表記(使用頻度は低い) |
| 日本語 | 母線 | JIS・JEM等の規格・図面で使う専門用語 |
| 日本語 | ブスバー / バスバー | busbarの音を取り入れた通称(業界内では「ブスバー」が主流) |
表記の対応関係
busbar(英語)
現在の標準表記(1語)
bus bar(英語)
従来の表記(2語・辞書に併記あり)
bus-bar(英語)
ハイフン表記(使用頻度は低い)
母線(日本語)
JIS・JEM等の規格・図面で使う専門用語
ブスバー / バスバー(日本語)
busbarの音を取り入れた通称(業界内では「ブスバー」が主流)
英語表記が busbar と bus bar に分かれる理由
busbarとbus barは同一語の綴りのゆれであり、意味の違いはない。現在はbusbar(1語)が技術文書・規格文書での標準表記になっている。
英語の辞書(Merriam-Webster、Collins、Oxford English Dictionaryなど)は “bus bar” を “busbar” の代替表記として扱っており、両者に意味の違いはありません。もともとは2語の “bus bar” が使われていましたが、用語が標準化されるにつれて1語の “busbar” が技術仕様書やエンジニアリング文書での標準表記として定着しました。ハイフンでつなぐ “bus-bar” という表記も見られますが、現在の使用頻度は前者2つに比べて低くなっています。
読み方のコツ
海外の図面・仕様書・カタログでは busbar / bus bar のどちらの表記に出会っても同じものと判断して問題ありません。逆に自社から海外向けに図面や見積書を作成する場合は、現在標準的な “busbar”(1語)で統一しておくと、相手先に違和感なく伝わります。
「母線」という日本語との対応(JIS・JEM 1115)
配電盤・制御盤の用語を定めるJEM 1115では、母線に対応する英語として「BUS」が示されている。母線はbusbarを含む上位概念として使われる場面もある。
配電盤・制御盤・制御装置の用語及び文字記号を定めたJEM 1115(日本電機工業会規格)では、「母線」に対応する外国語として “BUS” が示されています。母線は「変電所や受電設備の中で電力を分配する導体」という意味で使われ、busbar(帯状・棒状の導体そのもの)とほぼ同じ対象を指しますが、「母線」は系統・回路のまとまりを指すやや広い言葉として使われる場面もあります。実務上は、図面や仕様書で「母線」と書かれていれば busbar と対応すると考えて差し支えありません。
関連する英語表現の例
- ガス絶縁母線 → gas insulated bus
- 母線接続装置 → bus connector
- 母線保護継電器 → bus protection relay
注意
IEC 60050(国際電気標準用語)やIEC 61439(低圧開閉装置・制御装置)など、国際規格側にもbusbarの定義がありますが、規格ごとに定義文の範囲や前提条件が異なります。海外案件で規格適合を求められる場合は、該当規格の定義文そのものを確認してください。本記事の内容は用語対応の目安であり、規格適合の判断材料としてそのまま使わないでください。
日本語表記「ブスバー」「バスバー」との関係
「ブスバー」「バスバー」はどちらもbusbarをカタカナ化した通称で、意味の違いはない。技術系の図面・仕様書では「ブスバー」表記が主流。
英語の “bus” は「バス」とも「ブス」とも聞こえる発音のため、日本語では「バスバー」「ブスバー」という2通りのカタカナ表記が生まれました。どちらも英語の busbar から来た通称という位置づけで、指しているモノに違いはありません。業界内の図面・仕様書・発注書では「ブスバー」表記が主流ですが、Web検索では「バスバー」表記で調べる人も一定数います。この呼び方の違いそのものについては、「バスバーとブスバーの違いとは?」で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。当サイトでは基本表記を「ブスバー」としつつ、「バスバー」表記でお探しの方にも情報が届くよう本文中でも併記しています。
まずブスバーとは何かを確認したい方は、そちらの記事もあわせてご参照ください。
英語圏のカタログ・仕様書でよく見る関連表現
busbarという語は単独でも使われるが、構造や用途を表す形容詞・複合語がつくことが多く、そこを読み違えると仕様の理解を誤る。
海外メーカーのカタログや仕様書では、busbarという単語がそのまま単独で出てくるより、前後に構造や用途を表す言葉がついた複合語として出てくる場面のほうが多くあります。busbarという単語だけを拾って「同じもの」と判断してしまうと、実際には構造がまったく違う部材を指していることがあるため注意が必要です。
英語圏でよく見る関連表現
| 英語表現 | 対応する日本語 | 備考 |
|---|---|---|
| laminated busbar | 積層ブスバー | 複数枚を絶縁層で積層した構造。低インダクタンス用途向け |
| flexible busbar | 可撓ブスバー(フレキシブルブスバー) | 薄板を重ねて曲げやすくした構造 |
| bus duct / busway | バスダクト | ブスバーを金属製ハウジングに収めた「製品」。ブスバーは部材、バスダクトは製品という関係 |
| feeder busbar | 幹線母線・給電母線 | 電源側から負荷側へ電力を送る主系統の母線 |
| tap-off unit | 分岐接続ユニット | バスダクトの途中から電力を分岐する接続部 |
英語圏でよく見る関連表現
laminated busbar
積層ブスバー。複数枚を絶縁層で積層。低インダクタンス用途向け
flexible busbar
可撓ブスバー(フレキシブルブスバー)。薄板を重ねて曲げやすくした構造
bus duct / busway
バスダクト。ブスバーを金属製ハウジングに収めた製品。ブスバーは部材、バスダクトは製品
feeder busbar
幹線母線・給電母線。電源側から負荷側へ電力を送る主系統の母線
tap-off unit
分岐接続ユニット。バスダクトの途中から電力を分岐する接続部
コツ
「busbarとbus ductは何が違うのか」で迷う場合は、部材(導体そのもの)を指しているか、それを収めた製品全体を指しているかで切り分けると整理しやすくなります。当社が加工しているのは、この表でいう busbar(部材としての帯状導体)にあたります。
海外図面・仕様書を読むときに確認しておきたい点
busbar/bus barの表記だけで判断せず、材質・寸法単位・規格の記載を必ず確認する。海外案件では単位系(インチ/mm)の混在にも注意する。
実務での確認ポイント
- 材質表記(copper / aluminium / Cu / Al)が銅かアルミかを必ず確認する
- 寸法の単位(mm表記かinch表記か)が混在していないか確認する
- 参照規格(IEC・UL・JISのいずれか)が明記されているかを確認する
- busbarの前後につく形容詞(laminated busbar=積層ブスバー、flexible busbar=可撓ブスバーなど)で構造が変わる点に注意する
海外の取引先とやり取りする際、表記の違いにとらわれて意味を取り違えるより、材質・寸法・規格といった実務上の要件を一つずつ確認していくほうが、手戻りを防げます。特に見積り依頼や図面の受け渡しの段階では、次のような読み違いが実際に起こりやすいポイントです。
起こりやすい読み違い
- “Cu” の表記を見落とし、材質欄を確認せずアルミ製の図面として進めてしまう
- 寸法がインチ表記のままミリメートルに換算せず、板厚・幅の桁を誤認する
- “busbar” とだけ書かれた仕様書を見て、実際は “bus duct”(ハウジング込みの製品)を指していたと後から分かる
- 参照規格の版(edition)が古いままの仕様書を基準に加工してしまう
海外案件・輸出向け設備の図面や仕様書を読む際、表記や単位で判断に迷う箇所があれば、加工可否の相談と合わせて確認いただくと手戻りを防げます。図面が英語表記のみで、日本語の仕様に落とし込みたい場合もご相談に応じています。
よくあるご質問
busbarとbus barは意味が違いますか?
意味の違いはありません。busbar(1語)とbus bar(2語)は同じ電気導体を指す英語表記のゆれで、現在はbusbar(1語)が技術文書での標準表記です。
「母線」は英語で何と言いますか?
配電盤・制御盤用語を定めるJEM 1115では「母線」に対応する外国語として「BUS」が示されています。実務上はbusbarとほぼ同じ対象を指すと考えて差し支えありません。
「ブスバー」と「バスバー」はどちらが正しい表記ですか?
どちらも英語busbarをカタカナ化した通称で、意味に違いはありません。図面・仕様書などの技術系の場では「ブスバー」表記が主流です。
海外の仕様書に “bus-bar” とハイフンで書かれていました。何か特別な意味がありますか?
特別な意味はありません。bus-bar(ハイフン表記)もbusbar・bus barと同じ導体を指す表記のゆれの一つですが、現在の使用頻度は他の2つより低めです。
海外向けの図面・見積書ではどちらの英語表記を使えばよいですか?
現在の技術文書・規格文書で標準的に使われている busbar(1語)で統一すると、海外の取引先にも違和感なく伝わります。
