バスダクトとは?内部構造と絶縁方式をわかりやすく解説
バスダクトとは、銅やアルミの導体を絶縁物で覆い、鋼板やアルミの金属ケースに収めた幹線用の配電部材です。中身は「導体・絶縁物・支持材・金属ケース」の4層構造になっており、絶縁方式には主にフィルム絶縁方式と気中絶縁方式の2種類があります。この記事では、断面構造を分解しながら、部品としての銅ブスバー(バスバー)とどう違うのかを整理します。JIS C 8364は2025年5月20日に約17年ぶりの改正があり、2026年時点ではこの新しい規格が現行版です。
バスダクト
構造
絶縁方式
JIS C 8364
ブスバー
配電盤
この記事の内容
バスダクトとは何か
バスダクトとは、銅またはアルミの帯状導体を絶縁物で覆い、金属製のダクト(ケース)に収めた幹線用の配電部材です。変圧器から低圧配電盤へ、配電盤から分電盤へ、あるいはプラグイン器具を介して末端負荷へと、大電流を安全に送るための「導体入りの管」と考えると分かりやすくなります。
ケーブルと比べると、同じ電流を流すのに必要な断面を確保しやすく、途中の分岐や増設がプラグインで容易という特徴があります。工場やビルの主幹線、データセンターの大電流配電などで使われています。
前提
「バスダクト」は製品名、「バスバー(ブスバー)」はその内部で使われる導体そのものを指す言葉です。両者は入れ子の関係にあり、詳しくは後述のブスバーとはで導体側の基礎を確認できます。
バスダクトは、銅・アルミ導体を絶縁物と金属ケースで包んだ幹線用の配電部材です。
バスダクトが選ばれる場面
同じ幹線でも、ケーブルではなくバスダクトが選ばれるのは、主に次のような場面です。
バスダクトが選ばれやすい場面(PC版)
| 場面 | 選ばれる理由 |
|---|---|
| 工場・ビルの主幹線 | 大電流をまとめて送る際、同じ電流容量でもケーブルより設置スペースを抑えやすい |
| フロアごとの分岐が多い建物 | プラグイン方式なら、フロア途中に遮断器を追加して分岐できる |
| データセンター・工場の増設 | 将来の負荷増設を見込んで、後からプラグインで接続を増やせる |
| 屋外・粉じんの多い環境 | 金属ケースで導体を保護できる |
バスダクトが選ばれやすい場面(スマホ版)
工場・ビルの主幹線
同容量でもケーブルより省スペース
フロアごとの分岐が多い建物
プラグイン方式で途中分岐できる
データセンター・工場の増設
後からプラグインで接続を増やせる
屋外・粉じんの多い環境
金属ケースが導体を保護
コツ
逆に、盤の内部で数十センチ〜数メートル程度の距離をボルト締結でつなぐだけであれば、バスダクトという製品にせず、板金加工したブスバー(銅バー)を直接使うほうが、形状の自由度・コストの面で有利なことが多くなります。どちらを選ぶかは、距離・分岐の有無・屋外か盤内かで判断します。
バスダクトは大電流の主幹線・分岐が多い配電・将来増設を見込む場面で選ばれやすい製品です。
内部構造(断面)を分解する
バスダクトの断面は、おおむね次の4層で構成されています。どの層も役割が異なり、1つでも欠けると機能しません。
断面を構成する4層
- 導体…銅またはアルミの平角導体(ブスバー)。電流を流す本体
- 絶縁物…導体の周囲を覆うフィルムや樹脂、または空気層。導体同士・導体とケースを絶縁する
- 支持材…導体をケース内の正しい位置に固定する部材。振動や熱膨張を受け止める
- 金属ケース…鋼板またはアルミの外装。機械的な保護と接地の経路を兼ねる
断面のイメージ
金属ケース ─┬─ 絶縁物(フィルム/空気層)
├─ 導体(銅/アルミ・相ごとに複数本)
└─ 支持材(導体を固定)
断面の構成要素と役割(PC版)
| 層 | 材質の例 | 主な役割 |
|---|---|---|
| 導体 | 銅・アルミ | 通電 |
| 絶縁物 | 樹脂フィルム・空気層 | 相間・対地の絶縁 |
| 支持材 | 難燃性樹脂・碍子 | 位置固定・振動吸収 |
| 金属ケース | 鋼板・アルミ | 機械保護・接地経路 |
断面の構成要素と役割(スマホ版)
導体 / 銅・アルミ
通電
絶縁物 / 樹脂フィルム・空気層
相間・対地の絶縁
支持材 / 難燃性樹脂・碍子
位置固定・振動吸収
金属ケース / 鋼板・アルミ
機械保護・接地経路
三相の幹線では、この導体が3本(三相3線式)または4本(三相4線式・中性線を含む)並んで収められます。相ごとに導体を離す・絶縁物で仕切るといった配置は、後述する絶縁方式によって変わります。
断面は「導体・絶縁物・支持材・金属ケース」の4層で、相ごとに複数本の導体が収められています。
絶縁方式の違い(フィルム絶縁・気中絶縁)
低圧バスダクトの絶縁方式は、主に「フィルム絶縁方式」と「気中絶縁方式」の2つに分かれます。高圧・特別高圧用は気中絶縁方式が中心です。
フィルム絶縁方式
- 導体を絶縁フィルムで直接覆う
- 導体間の距離を詰められ、ダクトを小型化しやすい
- 同じ電流容量でも断面が省スペースになりやすい
気中絶縁方式
- 導体間を空気層で絶縁する
- 高圧・特別高圧など高い絶縁性能が求められる用途に向く
- フィルム方式よりダクトの断面は大きくなりやすい
注意
絶縁方式・定格電流・耐火性能の組み合わせはメーカーごとに製品ラインが分かれています。設置環境(周囲温度・耐火区画・屋外/屋内)によって選べる方式が変わるため、選定はメーカーのカタログと現地条件を照らし合わせて判断してください。
低圧バスダクトの絶縁方式は、小型化しやすいフィルム絶縁方式と、高い絶縁性能に向く気中絶縁方式に大別されます。
接続方式の違い(プラグイン・フィーダ)
バスダクトには、途中で分岐・増設できる「プラグイン方式」と、区間ごとに配線をつなぐ「フィーダ方式」があります。
接続方式の違い(PC版)
| 方式 | 特徴 | 向く場面 |
|---|---|---|
| プラグイン方式 | 側面にクリップがあり、遮断器を差し込んで分岐できる | 末端負荷への分岐が多い配電 |
| フィーダ方式 | 分岐せず区間ごとに導体をつなぐ。開蓋可能な構造の製品もある | 変圧器〜配電盤など主幹線 |
接続方式の違い(スマホ版)
プラグイン方式
側面クリップで遮断器を分岐接続。末端負荷への分岐が多い配電向け
フィーダ方式
区間ごとに導体を接続。開蓋可能な構造の製品もあり、主幹線向け
プラグイン方式は途中分岐、フィーダ方式は主幹線の区間接続に向いています。
バスダクトとブスバー(バスバー)の関係
バスダクトの内部にある導体そのものが、ブスバー(バスバー)です。つまりブスバーは「部品」、バスダクトはその部品を絶縁物と金属ケースで包んで製品化した「完成品」という関係になります。配電盤や分電盤の内部で、絶縁カバーなしの状態でボルト締結される導体は一般に「ブスバー」と呼ばれ、幹線として長距離を渡す場合や、外装で保護する必要がある場合に「バスダクト」という製品形態が選ばれます。
盤内の母線として使う板厚・寸法の考え方はブスバーとはで解説しています。加工の切断・曲げ・穴あけといった工程については加工技術を参照してください。
バスダクトの内部導体そのものがブスバーであり、部品(ブスバー)と製品(バスダクト)の関係にあります。
JIS C 8364の2025年改正で変わった点
最新の状況(2026年時点)
バスダクトのJIS規格「JIS C 8364」は2025年5月20日に改正されました。2008年改正から約17年ぶりの見直しで、2026年時点ではこの2025年版が現行規格です。主な変更点は、定格電流・定格短時間耐電流に関する規定の削除、耐火バスダクトの定格電圧の明確化、空間距離・沿面距離の測定方法をJIS C 60664-1に整合させたこと、耐火試験方法を消防法の告示に整合させたことです。対象は交流1000V以下(周波数1000Hz以下)または直流1500V以下のバスダクト及びその附属品です。
耐火バスダクトを扱う場合、消防法告示との寸法・試験方法の差異が今回の改正で解消された点は、設計・施工の実務に関わる変更です。具体的な適用条件は、最新のJIS原本またはメーカーのカタログで確認してください。
注意
改正前(2008年版)の図面・仕様書がそのまま残っている現場もあります。既設設備の増設・改修を検討する際は、設計時点でどちらの版を前提にしていたかを確認したうえで、必要な部分だけ現行の2025年版に照らして見直すのが安全です。
絶縁物の材質と耐熱性
バスダクトの絶縁に使われる樹脂には、耐熱性・耐トラッキング性が求められます。フィルム絶縁方式では、導体に直接巻き付けるフィルムに一定の耐熱等級が必要になり、気中絶縁方式では導体を支える支持材(碍子・難燃性樹脂)に同様の耐熱性が求められます。いずれの方式でも、絶縁物が導体の発熱に長期間さらされることを前提に材質が選ばれている点は共通しています。
絶縁方式によるダクト断面(相対イメージ)
絶縁物は導体の発熱に長期間さらされる前提で選ばれており、方式によって断面の大きさが変わります。
JIS C 8364は2025年5月20日に改正され、耐火試験方法や絶縁距離の測定方法が国際規格・消防法と整合されました。
よくあるご質問
バスダクトの中身(内部)には何が入っていますか
銅またはアルミの帯状導体(ブスバー)が、絶縁物と支持材によって金属ケースの中に固定されています。三相の幹線では、この導体が3本または4本並んで収められています。
バスダクトとブスバーは何が違いますか
ブスバーは通電する導体そのもの、バスダクトはその導体を絶縁物と金属ケースで包んで製品化したものです。ブスバーが部品、バスダクトが完成品という関係になります。
バスダクトの絶縁方式にはどんな種類がありますか
低圧用は導体をフィルムで覆うフィルム絶縁方式と、導体間を空気層で絶縁する気中絶縁方式があります。高圧・特別高圧用は気中絶縁方式が中心です。
プラグイン方式とフィーダ方式はどう使い分けますか
プラグイン方式は側面のクリップに遮断器を差し込んで途中分岐できるため末端負荷への配電に向き、フィーダ方式は分岐せず区間をつなぐため変圧器から配電盤までの主幹線に向きます。
バスダクトのJIS規格は改正されていますか
はい。JIS C 8364は2025年5月20日に改正されており、2026年時点ではこの版が現行規格です。耐火試験方法や絶縁距離の測定方法などが変更されています。
