設計・計算

ブスバー短絡時の熱的強度と通電時間の計算|電磁力との違い

短絡時のブスバーの熱的強度は、想定短絡電流・通電時間・導体断面積の3つで決まります。銅ブスバーなら、断熱条件の概算式 I = k × S ÷ √t に当てはめるだけで必要断面積を逆算できます。この記事では、式の中身と係数 k の取り方、通電時間 t の決め方、短時間許容電流の早見表、そして熱的強度と電磁力(機械的強度)がまったく別の検証項目であることを、数値で整理します。

ブスバー 短絡
熱的強度
短時間許容電流
通電時間
電磁力
断面積
設計計算

ブスバーの熱的強度とは何か

熱的強度とは、短絡電流が流れている短い時間に発生するジュール熱で導体が許容温度を超えないか、という強さのことです。短絡は数十ミリ秒から数秒で遮断されるため、発生した熱は逃げる時間がなく、ほぼ全量が導体自身の温度上昇に使われます。

常時の許容電流は、熱が周囲へ逃げて釣り合う温度で決まる定常の問題です。一方の熱的強度は、熱が逃げないと仮定する断熱の問題で、同じ銅ブスバーでも別々に確認しなければなりません。

前提:2つの温度を混同しない

常時の温度と短絡時の温度は、許容値そのものが違います。盤内の常時使用では周囲温度40℃・温度上昇65K程度(最高105℃前後)が目安ですが、短絡時のような瞬時の通電では、裸の硬銅導体で200℃を最高許容温度として計算するのが一般的です(日本電気技術者協会の解説による)。短絡時に高い温度を許容できるのは、持続時間が2秒以内で、材料の軟化や絶縁物の劣化が実質的に進まないためです。

要点:熱的強度は「熱が逃げない」前提の温度計算。常時の許容電流計算とは別物として必ず両方確認する。

熱的強度と電磁力(機械的強度)はどう違うか

熱的強度は「電流の二乗×時間(I²t)で導体が何度になるか」、電磁力による機械的強度は「電流のピーク値で導体と支持物が壊れないか」を見ます。効く物理量も、効く時刻も、対策も別です。

熱的強度(この記事の主題)

  • 支配する量:I²t(実効値の二乗×通電時間)
  • 最も厳しい瞬間:遮断直前(温度が積み上がった時点)
  • 壊れ方:軟化・変色、絶縁物の焼損、接続部の焼き付き
  • 効く対策:断面積を増やす/遮断時間を短くする
  • 支持間隔を詰めても改善しない

電磁力による機械的強度(別問題)

  • 支配する量:電流のピーク値 ip と相間距離
  • 最も厳しい瞬間:短絡直後の第1波(数ミリ秒)
  • 壊れ方:曲がり・座屈、碍子の割れ、ボルトの緩み
  • 効く対策:支持間隔を詰める/相間を広げる/断面形状
  • 断面積を増やしても電磁力自体は減らない

電磁力は、平行な2本の導体では次の概算式で見当がつきます。三相では相の並びによって係数が変わるため、実際の検証では規格(IEC 60865-1 など)の手順に従います。

F (N/m) = 2 × 10-7 × ip2 ÷ a   ip:ピーク電流 (A)、a:導体間距離 (m)

短絡電流の実効値が25kAの回路では、直流分を含むピーク値は概ねその2.5倍、約62.5kAになります。相間距離100mmなら、F = 2×10-7 × 62,500² ÷ 0.1 ≒ 約7,800N/m、つまり1mあたり約800kgfが横向きに働く計算です。「断面積は足りているのに短絡で曲がった」という事例は、熱的強度は満たしたが機械的強度の検証が抜けていた典型例です。

時間軸で見ると2つの問題が分かれる

 短絡発生
   │
   ├─ 0 〜 数ms  … 直流分を含む非対称電流でピーク ip
   │                → ここが【電磁力・機械的強度】の勝負
   │
   ├─ 数ms 〜 t   … 通電が続き、導体温度が積み上がる
   │                → ここが【熱的強度】の勝負
   │
   └─ t (遮断)    … t = 保護装置の動作時間 + 遮断器の遮断時間

要点:電磁力は「最初の一撃」、熱的強度は「切れるまでの積算」。断面積と支持は別々の対策で、片方では代わりにならない。

短絡時の温度上昇はどう計算するか

断熱を仮定した次の式で計算します。銅の場合、係数 K = 226 A·√s/mm²、定数 β = 234.5K を使います。これは IEC 60949 や IEC 60364-5-54 で用いられている断熱式と同じ形で、実務の一次検証はほぼこの式で足ります。

I2 × t = K2 × S2 × ln( (θf + β) ÷ (θi + β) )

I:短絡電流の実効値 (A)、t:通電時間 (s)、S:導体断面積 (mm²)、θi:短絡開始時の導体温度 (℃)、θf:許容する最終温度 (℃) です。電流について解くと、現場で使いやすい形になります。

I (A) = k × S ÷ √t    k = K × √( ln( (θf + β) ÷ (θi + β) ) )

係数 k は開始温度と許容最終温度だけで決まります。銅(導電率100%IACS相当)では次のとおりです。どの行を使うかで結果が3割変わるため、設計条件を先に決めてから表を引いてください。

銅導体の係数 k(K=226、β=234.5Kで算出)

開始温度 θi 許容最終温度 θf 係数 k 使う場面
105℃ 200℃ 112 最も厳しい前提。常時が上限温度に張り付く盤
90℃ 200℃ 122 推奨の標準前提。定格負荷連続運転を想定
70℃ 200℃ 135 負荷率に余裕がある盤
40℃ 200℃ 153 無負荷・軽負荷時の短絡(甘い側なので採用注意)
90℃ 250℃ 143 裸導体で高温を許容できる場合のみ

銅導体の係数 k(K=226、β=234.5Kで算出)

開始105℃ → 最終200℃

k = 112(最も厳しい前提。常時が上限温度に張り付く盤)

開始90℃ → 最終200℃

k = 122(推奨の標準前提。定格負荷連続運転を想定)

開始70℃ → 最終200℃

k = 135(負荷率に余裕がある盤)

開始40℃ → 最終200℃

k = 153(無負荷・軽負荷時の短絡。甘い側なので採用注意)

開始90℃ → 最終250℃

k = 143(裸導体で高温を許容できる場合のみ)

注意:開始温度を低く取ると「計算上は通る」危険な設計になる

係数 k は開始温度 θi を下げるほど大きくなり、同じ断面積でも許容電流が大きく出ます。周囲温度40℃で開始温度も40℃と置くのは、短絡が無負荷時に起こると仮定していることに等しくなります。迷ったら θi = 90℃(k = 122)を使い、常時の温度上昇計算で90℃を超えるなら k = 112 側に寄せてください。

要点:銅は I = k × S ÷ √t。標準的には k = 122(90℃→200℃)を使い、条件が厳しい盤では112を使う。

通電時間 t は何秒で計算すればよいか

通電時間 t は「保護装置が短絡を検出してから遮断が完了するまでの実時間」で、保護協調図から読み取ります。設計上の想定値としては0.1〜2秒の範囲に収まり、2秒を超える前提で計算することはほとんどありません。

実務でよく置かれる想定値は次のとおりです。あくまで出発点で、最終的には使用する保護装置の動作特性と協調検討の結果を使ってください。

通電時間 t の想定値(出発点としての目安)

保護方式 t の目安 考え方
限流ヒューズ・限流型遮断器 0.01〜0.1秒 電流を途中で抑え込むため I²t が小さい。実際は装置の I²t 値で確認
低圧遮断器の瞬時引外し 0.02〜0.1秒 検出+開極+アーク消滅までの合計
高圧受電の過電流継電器+遮断器 0.2〜0.5秒 継電器の動作時間に遮断時間を足す
上位側・バックアップ保護 1〜2秒 下位が動かない場合に備える。最も厳しい条件

通電時間 t の想定値(出発点としての目安)

限流ヒューズ・限流型遮断器

t = 0.01〜0.1秒 / 電流を抑え込むため I²t が小さい。装置の I²t 値で確認

低圧遮断器の瞬時引外し

t = 0.02〜0.1秒 / 検出+開極+アーク消滅までの合計

高圧受電の過電流継電器+遮断器

t = 0.2〜0.5秒 / 継電器の動作時間に遮断時間を足す

上位側・バックアップ保護

t = 1〜2秒 / 下位が動かない場合に備える。最も厳しい条件

t が短くなると許容電流は √t の逆数で大きくなります。効き方は次のとおりで、遮断を速くすることは断面積を増やすのと同じくらい強力な手段です。

同じ断面積での許容電流の倍率(t=1秒を1.00とする)

0.1秒
3.16倍
0.2秒
2.24倍
0.5秒
1.41倍
1秒
1.00倍
2秒
0.71倍

注意:熱的に余裕があっても「時間を短くすれば何でも通る」わけではない

熱的強度は t を短くすれば緩みますが、電磁力のピーク値は t とほぼ無関係に発生します。また機器の定格短時間耐電流(Icw)は、遮断時間を短くしたからといって超えて使えるものではありません。熱容量には余裕が出ても、接点部の発弧や電磁力の問題が残るためです。

要点:t は保護協調から読む。0.1秒なら1秒の3.16倍まで流せるが、電磁力とIcwはそれでは緩まない。

板厚×幅ごとの短時間許容電流の目安

銅ブスバーの短時間許容電流は、断面積1mm²あたり1秒間で約122A、0.1秒間なら約386Aが目安です。下表は k = 122(開始90℃→最終200℃)で算出した早見表です。

銅ブスバーの短時間許容電流の目安(k=122、単位kA)

寸法(板厚×幅) 断面積 t=1秒 t=0.5秒 t=0.2秒 t=0.1秒
3 × 20mm 60mm² 7.3 10.4 16.4 23.1
4 × 25mm 100mm² 12.2 17.3 27.3 38.6
5 × 30mm 150mm² 18.3 25.9 40.9 57.9
5 × 40mm 200mm² 24.4 34.5 54.6 77.2
6 × 50mm 300mm² 36.6 51.8 81.8 115.7
10 × 50mm 500mm² 61.0 86.3 136.4 192.8

銅ブスバーの短時間許容電流の目安(k=122、単位kA)

3×20mm(60mm²)

1秒 7.3kA / 0.5秒 10.4kA / 0.2秒 16.4kA / 0.1秒 23.1kA

4×25mm(100mm²)

1秒 12.2kA / 0.5秒 17.3kA / 0.2秒 27.3kA / 0.1秒 38.6kA

5×30mm(150mm²)

1秒 18.3kA / 0.5秒 25.9kA / 0.2秒 40.9kA / 0.1秒 57.9kA

5×40mm(200mm²)

1秒 24.4kA / 0.5秒 34.5kA / 0.2秒 54.6kA / 0.1秒 77.2kA

6×50mm(300mm²)

1秒 36.6kA / 0.5秒 51.8kA / 0.2秒 81.8kA / 0.1秒 115.7kA

10×50mm(500mm²)

1秒 61.0kA / 0.5秒 86.3kA / 0.2秒 136.4kA / 0.1秒 192.8kA

コツ:熱的強度は常時の許容電流より先に決まることがある

常時の許容電流だけで断面積を選ぶと、5×30mm(150mm²)で1,000A級を狙うような設計になります。しかしこの断面積の1秒間の短時間許容電流は18.3kAで、想定短絡電流25kAの回路では足りません。大容量の受電設備では、常時電流ではなく短絡電流が断面積を決める場合があります。銅ブスバーの断面積と常時許容電流の関係はブスバーとはのページでも整理しています。

2026年時点の状況:想定短絡電流は「増える方向」にある

データセンターや半導体工場の新設に伴い、受電設備が大容量化しています。経済産業省が2026年に公開した資料では、データセンターと半導体工場の電力需要が2025年度の約36億kWhから2034年度に約514億kWhへ拡大する見通しが示されており、配電盤メーカー側も2026年に生産能力の増強(海外拠点で1.5倍など)を打ち出しています。上位変圧器の容量が上がると系統インピーダンスが下がり、同じ受電点でも想定短絡電流は大きくなります。過去の図面をそのまま流用する場合は、短絡電流の想定値が当時と同じかを必ず確認し、変わっていれば熱的強度を再計算してください。

要点:1mm²あたり1秒で約122A。常時電流で決めた断面積が短絡で足りないことがあるので両方計算する。

必要断面積を逆算する手順(計算例つき)

必要断面積は S ≧ I × √t ÷ k で求められます。想定短絡電流と通電時間が決まっていれば、この1行で最小断面積が出ます。

S (mm²) ≧ I × √t ÷ k   例:I=25,000A、t=0.5s、k=122 → S ≧ 25,000 × 0.707 ÷ 122 ≒ 145mm²

熱的強度の検証手順

  • ① 受電点の想定短絡電流 I(実効値)を、系統のインピーダンスから確認する
  • ② 保護協調図から通電時間 t(検出+遮断)を読み取る
  • ③ 常時の温度上昇計算から開始温度 θi を決め、係数 k を表から選ぶ
  • ④ S ≧ I × √t ÷ k で最小断面積を求める
  • ⑤ 常時の許容電流から求めた断面積と比べ、大きい方を採用する
  • ⑥ 板厚×幅の組み合わせを決める(流通寸法と曲げ加工性を考慮)
  • ⑦ 別途、電磁力による支持間隔・碍子強度を検証する

計算例1:低圧盤(短絡電流35kA、遮断0.1秒)

S ≧ 35,000 × √0.1 ÷ 122 = 35,000 × 0.316 ÷ 122 ≒ 90.7mm²。4×25mm(100mm²)で成立します。ただし常時電流が800Aなら常時側の要求断面積の方が大きくなるため、そちらが支配します。

計算例2:高圧受電盤(短絡電流25kA、遮断0.5秒)

S ≧ 25,000 × 0.707 ÷ 122 ≒ 145mm²。5×30mm(150mm²)でぎりぎり成立します。余裕をみるなら5×40mm(200mm²)が安全側です。

計算例3:到達温度を逆に確かめる

5×50mm(250mm²)のブスバーに40kAが0.3秒流れた場合、開始温度90℃からの到達温度は
θf = (90 + 234.5) × exp( 40,000² × 0.3 ÷ (226² × 250²) ) − 234.5 ≒ 約143℃
となり、200℃に対して余裕があると判断できます。このように、既存設備の妥当性確認にも同じ式が使えます。

注意:実効値の取り方と表皮効果

短絡直後の電流は直流分を含む非対称波形で、単純な実効値より発熱が大きくなります。厳密には直流分の減衰を織り込んだ「熱的等価短時間電流」を使う必要があり、規格(IEC 60865-1 など)にその手順が定められています。また交流では表皮効果により電流が導体表面に偏るため、板厚を厚くしても断面積の増分どおりには発熱が下がりません。大電流では厚い1枚より薄い複数枚に分けた方が有利になる場合があります。一次検討は本記事の式で行い、最終検証は規格の手順とメーカーのデータで確認してください。

要点:S ≧ I×√t÷k で最小断面積を出し、常時側の要求と比べて大きい方を採る。

加工・接続部で熱的強度を落とさないために

短絡時に最初に傷むのは母材ではなく接続部です。断面積が足りていても、接触面積の不足や穴による断面減があると、そこだけが局所的に高温になり溶着や焼損に至ります。

断面が細くなる場所を見落とさない

     幅 50mm・板厚 6mm(300mm²)のブスバー
 ┌───────────────────────────┐
 │        ●(φ13 ボルト穴)     │  ← 穴の位置で
 └───────────────────────────┘     残り断面 = (50-13)×6 = 222mm²
                                      ▲ 断面積が約26%減る

ボルト穴を通る断面では、穴の直径分だけ断面積が減ります。上の例では300mm²が222mm²になり、この部分の1秒間の短時間許容電流は36.6kAから27.1kAへ下がります。熱的強度の検証は「最小断面」で行うのが原則です。穴を千鳥配置にする、幅を広げる、接続部だけ板厚を上げるなどで補います。

熱的強度を下げてしまう要因

  • ボルト穴・切欠きによる最小断面の減少
  • 接触面積の不足(重ね代が短い)
  • 締結トルク不足による接触抵抗の増大
  • 接触面の酸化被膜(未処理の裸銅の長期放置)
  • 異種金属接続部での電食による接触面劣化

設計・加工でできる対策

  • 穴位置を避けて幅を確保する、または千鳥配置にする
  • 重ね代を確保し、必要なら座金で面圧を分散する
  • 接続面に錫めっき・銀めっきを施し接触抵抗を安定させる
  • バリ・打ち抜きだれを除去して面接触を確保する
  • 締結トルクを管理し、記録を残す

コツ:めっきは熱的強度そのものより「接触抵抗の安定」に効く

めっき層は薄く、導体全体の熱容量にはほとんど寄与しません。効くのは接続部の接触抵抗を安定させることで、短絡時の局所発熱を抑えます。錫めっきは酸化防止とコストのバランスがよく、銀めっきは接触抵抗をより低く保てます。曲げ・穴あけとめっきを組み合わせた実際の加工範囲は加工技術をご覧ください。

盤としての短時間耐電流の検証では、導体だけでなく支持絶縁物も「使用に支障のある変形などの異常がないこと」が求められます(JIS C 8480:2016 キャビネット形分電盤ほか)。機器側の定格短時間耐電流(Icw)と、導体の熱的強度・機械的強度の3つが揃って初めて盤全体が成立します。

要点:検証は最小断面で行う。ボルト穴で断面が2〜3割減る箇所が実質の弱点になる。

よくあるご質問

ブスバーの短絡時の通電時間は何秒で計算すればよいですか?

保護装置が短絡を検出してから遮断が完了するまでの実時間を使い、保護協調図から読み取ります。想定値としては、限流ヒューズや低圧遮断器の瞬時引外しで0.01〜0.1秒、高圧受電の過電流継電器と遮断器の組み合わせで0.2〜0.5秒、上位のバックアップ保護を考える場合で1〜2秒が目安です。系統は必ず遮断されるため、2秒を超える前提で計算することはほとんどありません。

銅ブスバーの短絡時の最高許容温度は何℃ですか?

裸の硬銅導体では200℃を最高許容温度として計算するのが一般的です(公益社団法人日本電気技術者協会の解説による)。常時の許容温度が105℃前後であるのに対して高い値を使えるのは、短絡の持続時間が2秒以内と短く、材料の軟化や周辺絶縁物の劣化が実質的に進まないためです。ただし絶縁被覆や樹脂部品が近接する場合は、その材料の耐熱温度が上限を決めることがあります。

熱的強度と電磁力による機械的強度は、どちらを先に確認すべきですか?

先に熱的強度で断面積を決め、その断面積を前提に電磁力で支持間隔を決める順序が実務的です。熱的強度は電流の二乗と通電時間の積(I²t)で断面積が決まり、電磁力は電流のピーク値と相間距離で支持条件が決まります。断面積を増やしても電磁力は減らず、支持間隔を詰めても温度上昇は下がらないため、両方を独立に検証する必要があります。

遮断時間を短くすれば、ブスバーの断面積を細くできますか?

導体の温度上昇に対しては細くできます。許容電流は通電時間の平方根に反比例するため、1秒から0.1秒に短縮できれば同じ断面積で約3.16倍の電流に耐えられます。ただし電磁力のピーク値は通電時間とほぼ無関係に発生し、機器の定格短時間耐電流(Icw)も遮断時間を短くしたからといって超えて使うことはできません。熱容量の余裕と、電磁力や機器定格の制約は別に考えてください。

ボルト穴があるとブスバーの短絡強度はどれくらい下がりますか?

穴の直径分だけ断面積が減った値で評価するため、その比率どおりに下がります。例えば幅50mm・板厚6mm(300mm²)にφ13の穴をあけると、その断面は(50−13)×6=222mm²となり約26%減、1秒間の短時間許容電流は36.6kAから27.1kAへ下がります。熱的強度の検証は導体の最小断面で行うのが原則で、穴の千鳥配置や接続部の幅増しで補います。

難しいのは計算そのものではなく、開始温度の置き方、最小断面の見落とし、電磁力との切り分けです。当社では変圧器・配電盤・受配電設備向けの銅ブスバーを加工しており、板厚・幅・穴位置の組み合わせや接続部の仕様を図面段階からご相談いただけます。検査・寸法管理の考え方は品質管理をご覧ください。

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