受配電設備のブスバー短絡強度|電磁力の計算と支持間隔の決め方
受配電設備のブスバーは、平常時の許容電流だけでは設計が終わりません。短絡事故が起きた瞬間、導体には定格の数十倍の電流が流れ、相互に強い電磁力(吸引力・反発力)が働きます。この力に耐えられるかどうかを決めるのは、導体の断面積ではなく支持間隔・相間距離・板の向きの3つです。この記事では、短絡時の電磁力の求め方、それがブスバーを曲げる応力に変わる仕組み、そして支持間隔をどう決めるかを、計算例と数値表で順に説明します。
銅ブスバー
受配電設備
短絡電流
電磁力
支持間隔
短絡強度
配電盤
JIS C 4620
この記事の内容
短絡したとき、ブスバーには何が起きるのか
短絡時にブスバーへ働く力は、平行に並んだ導体どうしが電流によって引き合う・反発し合う電磁力です。電流の向きが同じなら吸引、逆なら反発になり、その大きさは電流の2乗に比例します。定格500Aの母線に12.5kAの短絡電流が流れれば、電流は25倍でも力は約625倍になるということです。
電磁力とは、電流が流れる導体が他の導体の作る磁界から受ける力のことです。平常運転時はごく小さく無視できますが、短絡の瞬間だけは支持碍子を折り、ブスバーを曲げ、相間短絡を二次的に引き起こすだけの大きさになります。短絡強度の検証とは、この一瞬の力に対して構造が壊れないことを確かめる作業です。
力が働く向き
【逆向きの電流 → 反発】 【同じ向きの電流 → 吸引】 ┃R相 ┃S相 ┃ + ┃ + ┃ ↑電流 ┃ ↓電流 ┃ ↑ ┃ ↑ ┃ ┃ ┃ ┃ ← → → ← 外へ押される(碍子に引張) 内へ引かれる(碍子に圧縮) ← 相間距離 a → 力は a に反比例、電流の2乗に比例
受配電設備では三相の母線が並走しているため、短絡の種類(三相短絡・二相短絡)と相の位置(中央相か外側相か)で受ける力が変わります。一般に中央相が最も大きな力を受けるため、支持設計は中央相を基準に確認します。
2026年の状況 — 受変電設備の需要と規格
データセンターや半導体工場の新増設を背景に、2026年時点でも変圧器・キュービクルの需要は高い水準が続き、納期が長期化しやすい状況が報じられています。設計変更のやり直しは納期にそのまま跳ね返るため、短絡強度の検証を後回しにしないことが以前より重要になっています。なお、キュービクル式高圧受電設備の規格JIS C 4620は2023年に改正版が発行されており、公称電圧6.6kV・系統短絡電流12.5kA以下・受電設備容量4,000kVA以下の設備を適用範囲としています。手元の設計基準が旧版を参照していないか、一度確認しておくと安全です。
短絡電流による電磁力は電流の2乗に比例する。定格ではなく短絡時の値で構造を確認する。
短絡時の電磁力はどう計算するか
平行に並んだ2本の導体に働く電磁力は、単位長さあたり F = 2×10⁻⁷ × I₁ × I₂ ÷ a [N/m] で求められます。I は電流[A]、a は導体の中心間距離[m]です。三相回路の中央相については、この値におよそ0.87を掛けた大きさが目安になります。
ここで使う電流は実効値ではなく波高値(ピーク値)です。構造が壊れるかどうかは瞬間の最大値で決まるためで、実効値をそのまま代入すると力を大幅に小さく見積もってしまいます。波高値の求め方は次の章で説明します。
注意:実効値を代入しない
12.5kAという表記はほぼ必ず実効値です。これを式にそのまま入れると、電磁力は実際の約6分の1にしか見えません(波高値が実効値の約2.5倍なら、2乗して約6.4倍の差になります)。短絡強度の検討で最も多い取り違えがここです。
相間距離を変えると力はどう変わるか
電磁力は相間距離 a に反比例します。下表は、系統短絡電流12.5kA(実効値)・波高値約31.8kAとしたときの、相間距離ごとの電磁力(2導体間)の計算値です。
相間距離ごとの電磁力(波高値31.8kA・2導体間の計算値)
| 相間距離 a | 電磁力 F | 約 kgf 換算 |
|---|---|---|
| 50mm | 約4,050 N/m | 約413 kgf/m |
| 75mm | 約2,700 N/m | 約275 kgf/m |
| 100mm | 約2,030 N/m | 約207 kgf/m |
| 150mm | 約1,350 N/m | 約138 kgf/m |
| 200mm | 約1,010 N/m | 約103 kgf/m |
相間距離ごとの電磁力(波高値31.8kA・2導体間の計算値)
相間距離 50mm
約4,050 N/m(約413 kgf/m)
相間距離 75mm
約2,700 N/m(約275 kgf/m)
相間距離 100mm
約2,030 N/m(約207 kgf/m)
相間距離 150mm
約1,350 N/m(約138 kgf/m)
相間距離 200mm
約1,010 N/m(約103 kgf/m)
相間距離と電磁力の関係(50mmを100%とした相対値)
相間距離を2倍にすれば力は半分になりますが、盤の幅はそのぶん大きくなります。盤寸法に余裕がない場合は、相間距離ではなく支持間隔を詰めるほうが現実的な対策になることが多いのはこのためです。
電磁力は電流の2乗に比例し、相間距離に反比例する。代入するのは波高値。
短絡電流の波高値は実効値の何倍で見るか
短絡電流の波高値は、実効値に √2 と非対称係数 κ を掛けて求めます。κ が1.8の場合、波高値は実効値の約2.5倍になります。短絡の瞬間は直流分が重畳するため、単純な正弦波のピーク(√2倍=約1.41倍)よりも大きくなるのが理由です。
κ(非対称係数)は回路のX/R比で決まり、電源に近く誘導性が強い回路ほど大きくなります。受電点近傍では1.8前後を用いるのが一般的で、その場合 √2 × 1.8 ≒ 2.55 倍です。系統条件が分からない段階では、安全側に2.5倍程度を仮定して検討を始めるとよいでしょう。
短絡電流別の電磁力(相間距離100mm・κ=1.8として計算)
| 短絡電流(実効値) | 波高値の目安 | 電磁力(2導体間) |
|---|---|---|
| 8kA | 約20.4kA | 約830 N/m |
| 12.5kA | 約31.8kA | 約2,030 N/m |
| 20kA | 約50.9kA | 約5,180 N/m |
| 25kA | 約63.6kA | 約8,100 N/m |
| 31.5kA | 約80.2kA | 約12,900 N/m |
短絡電流別の電磁力(相間距離100mm・κ=1.8として計算)
8kA(波高値 約20.4kA)
電磁力 約830 N/m
12.5kA(波高値 約31.8kA)
電磁力 約2,030 N/m
20kA(波高値 約50.9kA)
電磁力 約5,180 N/m
25kA(波高値 約63.6kA)
電磁力 約8,100 N/m
31.5kA(波高値 約80.2kA)
電磁力 約12,900 N/m
短絡電流が8kAから25kAへ約3倍になると、電磁力は約10倍です。受電容量を増やして系統短絡電流が上がったときに、既存のブスバー支持がそのまま流用できるとは限らないことが、この表から読み取れます。
コツ:検討の入口は2つの数字だけ
短絡強度の検討を始めるのに必要な数字は、まず系統短絡電流(実効値)と相間距離の2つです。この2つが決まれば電磁力が出て、あとは支持間隔をいくつにするかの話に落ちます。図面が固まる前の早い段階で、この2つだけでも確定させておくと手戻りが減ります。
波高値 ≒ 実効値 × 2.5(κ=1.8のとき)。この換算を飛ばすと力を6倍近く過小評価する。
電磁力はどのように曲げ応力に変わるか
ブスバーは支持点で支えられた梁とみなせるので、電磁力は等分布荷重として曲げモーメントに変わり、断面係数で割ることで曲げ応力になります。ここで効いてくるのが板の向きです。同じ断面積でも、力が板厚方向に働くか幅方向に働くかで強さは10倍近く変わります。
板の向きで断面係数が大きく変わる
断面係数 Z は、力の向きによって次のように変わります。t は板厚、b は幅です。
板厚×幅ごとの断面係数(弱軸・強軸の比較)
| 寸法(板厚×幅) | 弱軸 Z(板厚方向) | 強軸 Z(幅方向) | 比 |
|---|---|---|---|
| 5×50mm | 約208 mm³ | 約2,083 mm³ | 10.0倍 |
| 6×60mm | 約360 mm³ | 約3,600 mm³ | 10.0倍 |
| 8×80mm | 約853 mm³ | 約8,533 mm³ | 10.0倍 |
| 10×100mm | 約1,667 mm³ | 約16,667 mm³ | 10.0倍 |
板厚×幅ごとの断面係数(弱軸・強軸の比較)
5×50mm
弱軸 約208 mm³ / 強軸 約2,083 mm³(10倍)
6×60mm
弱軸 約360 mm³ / 強軸 約3,600 mm³(10倍)
8×80mm
弱軸 約853 mm³ / 強軸 約8,533 mm³(10倍)
10×100mm
弱軸 約1,667 mm³ / 強軸 約16,667 mm³(10倍)
注意:相間の電磁力はたいてい弱軸方向に働く
盤内のブスバーは、放熱と占有幅の都合から板の広い面どうしを向かい合わせて並べる配置が多くなります。この配置では、相間に働く電磁力は必ず板厚方向、つまり最も曲がりやすい弱軸方向に働きます。「幅50mmもあるから丈夫」という感覚は、この向きでは成り立ちません。効くのは幅ではなく板厚です。
計算例:5×50mmを支持間隔600mmで使った場合
計算の手順
- ① 電磁力 F = 2,030 N/m = 2.03 N/mm(12.5kA・相間100mm)
- ② 曲げモーメント M = 2.03 × 600² ÷ 8 ≒ 91,400 N・mm
- ③ 断面係数 Z(弱軸)= 50 × 5² ÷ 6 ≒ 208 mm³
- ④ 曲げ応力 σ = 91,400 ÷ 208 ≒ 約440 N/mm²
約440 N/mm²という値は、銅ブスバーの引張強さを大きく超えます。つまりこの条件では、支持間隔600mmは成立しません。板厚を上げるか、支持間隔を詰めるか、相間距離を広げるかのいずれかが必要になります。計算してみて初めて分かる種類の不足であり、感覚では判断できないところです。
曲げ応力 = 電磁力 × スパン² ÷ 8 ÷ 断面係数。スパンは2乗で効くので最も敏感な変数。
支持間隔(スパン)はどう決めるか
支持間隔は、電磁力による曲げ応力が許容応力以下に収まる長さとして決めます。スパンは2乗で効くため、支持を1か所増やすだけで応力は大きく下がります。相間距離を広げたり板厚を上げたりするより、盤設計への影響が小さい対策でもあります。
下表は、12.5kA・相間距離100mm(F ≒ 2,030 N/m)の条件で、仮に許容曲げ応力を100 N/mm²と置いた場合の支持間隔の計算値です。許容応力は材質・質別・社内基準・適用規格によって変わるため、この数値は「スパンがどの程度のオーダーになるか」を掴むための参考として見てください。
支持間隔の計算値(12.5kA・相間100mm・許容応力100 N/mm²と仮定)
| 寸法(板厚×幅) | 弱軸 Z | 支持間隔の計算値 |
|---|---|---|
| 5×50mm | 約208 mm³ | 約290mm |
| 6×60mm | 約360 mm³ | 約380mm |
| 8×80mm | 約853 mm³ | 約580mm |
| 10×100mm | 約1,667 mm³ | 約810mm |
支持間隔の計算値(12.5kA・相間100mm・許容応力100 N/mm²と仮定)
5×50mm(弱軸 Z 約208 mm³)
支持間隔 約290mm
6×60mm(弱軸 Z 約360 mm³)
支持間隔 約380mm
8×80mm(弱軸 Z 約853 mm³)
支持間隔 約580mm
10×100mm(弱軸 Z 約1,667 mm³)
支持間隔 約810mm
前提:どの梁モデルを使うか
上の計算は「両端単純支持(M = FL²÷8)」という安全側のモデルです。支持点が3か所以上並ぶ連続梁として扱えば M = FL²÷12 程度まで小さく評価でき、許容スパンは約1.2倍に伸びます。どちらのモデルを採るかで結果が2割前後変わるため、社内基準や適用規格でどちらを用いるかを先に決めておくことをおすすめします。
許容応力をどう置くか
許容曲げ応力の根拠になるのは、材料の機械的性質です。JIS H 3140(銅ブスバー)では、材質としてタフピッチ銅 C1100 と無酸素銅 C1020、質別として O(軟質)と 1/2H(半硬質)が規定されています。引張強さは O 材で 195 N/mm² 以上、1/2H 材では板厚区分に応じて 245 N/mm² 以上の範囲が規定されており、質別を上げると強度は上がりますが、曲げ加工性は下がります。
O材(軟質)を選ぶ場面
- 曲げ加工が多い形状
- 小さい曲げRが必要
- 短絡強度に余裕がある(スパンが短い・電流が小さい)
- スプリングバックを抑えて寸法精度を出したい
1/2H材(半硬質)を選ぶ場面
- 直材が主体で曲げが少ない
- 支持間隔を詰めにくい構造
- 短絡電流が大きく強度を稼ぎたい
- 取り扱い時の変形を避けたい
注意:曲げ部は強度と加工性のトレードオフになる
1/2H材は強度が高い一方、曲げ加工では割れやスプリングバックが出やすくなります。「短絡強度のために1/2Hにしたが、曲げ形状が作れない」という手戻りは実際に起こります。形状と質別は同時に決めるべきもので、曲げが多い設計であれば質別を上げるより支持を増やすほうが早いことも少なくありません。曲げ加工の実際については加工技術のページもあわせてご覧ください。
コツ:電磁力の脈動周波数にも注意する
電磁力は電流の2乗に比例するため、電源周波数が50Hz・60Hzなら力は100Hz・120Hzで脈動します。支持スパンで決まるブスバーの固有振動数がこの帯域に近いと、短絡時に振動が増幅されます。長いスパンを1本の梁で渡す構成では、強度計算が成立していても支持を1か所足しておくほうが安全側です。
支持を1か所増やすのが、最も影響が小さく効果の大きい対策になることが多い。
熱的強度も同時に確認する
短絡電流はブスバーに機械的な力を与えるだけでなく、短時間で大きな熱も発生させます。電磁力(機械的強度)の検討が通っても、断面積が不足していれば数十ミリ秒〜1秒の通電で導体温度が許容値を超え、絶縁物の損傷や導体の軟化を招きます。短絡強度の検証は、機械的強度と熱的強度の両方が必要です。
係数 k は、導体材質と「短絡前の初期温度・短絡後に許容する最終温度」で決まる値です。銅の場合、想定する温度条件により概ね110〜150程度の値が用いられますが、採用する数値は適用規格や社内基準で定めたものを使ってください。ここで重要なのは、通電時間が保護協調(遮断器の動作時間)で決まるという点です。
通電時間は保護装置が決める
熱的強度の計算で使う通電時間 t は、上流の遮断器やヒューズが短絡を遮断するまでの時間です。遮断時間が2倍になれば必要断面積は約1.41倍(√2倍)になります。ブスバーの断面積だけを見るのではなく、保護協調の設定とセットで確認するのが正しい進め方です。
コツ:熱的には断面積、機械的には板厚とスパン
同じ断面積でも、熱的強度は断面積そのもので決まるのに対し、機械的強度は板厚(弱軸)とスパンで決まります。5×100mmと10×50mmは断面積が同じ500mm²でも、弱軸の断面係数は10×50のほうが約2倍大きくなります。熱的に足りていても機械的に足りない、という組み合わせが生じるのはこのためです。
短絡強度=機械的強度+熱的強度。片方だけでは検証したことにならない。
設計・製作でつまずきやすい点
短絡強度に関する不具合の多くは、計算そのものではなく「計算した条件と実物がずれている」ことから生まれます。図面上のスパンと実際の支持位置、想定した板の向きと組み上がりの向き、この2つのずれが代表的です。
よくあるずれと、その影響
| 起きやすいずれ | 影響 | 対処 |
|---|---|---|
| 曲げ部の直後に支持がない | 実効スパンが図面より長くなる | 曲げ点近傍に支持を追加 |
| 実効値で電磁力を計算した | 力を約6分の1に過小評価 | 波高値に換算して再計算 |
| 強軸で成立と判断した | 実配置は弱軸で約10倍の応力 | 組立姿勢で断面係数を再確認 |
| 分岐部の片持ち長を見ていない | 片持ち端に応力が集中 | 分岐直前に支持を設ける |
| 2枚並列の相互力を無視 | 並列導体間にも吸引力が働く | 並列間のスペーサを確認 |
よくあるずれと、その影響
曲げ部の直後に支持がない
実効スパンが図面より長くなる → 曲げ点近傍に支持を追加
実効値で電磁力を計算した
力を約6分の1に過小評価 → 波高値に換算して再計算
強軸で成立と判断した
実配置は弱軸で約10倍の応力 → 組立姿勢で断面係数を再確認
分岐部の片持ち長を見ていない
片持ち端に応力が集中 → 分岐直前に支持を設ける
2枚並列の相互力を無視
並列導体間にも吸引力が働く → 並列間のスペーサを確認
加工側で効いてくること
短絡強度は構造設計の話ですが、製作の精度も無関係ではありません。穴位置の精度が出ていないと、支持点で無理に締め付けることになり、通電前から曲げ応力が残った状態になります。この初期応力は短絡時の応力に上乗せされます。曲げ角度のばらつきについても同様で、支持点で強引に位置合わせをすれば同じことが起こります。
図面で伝えていただけると精度が上がる情報
- 材質と質別(C1100 / C1020、O / 1/2H)
- 板厚・幅・展開長、曲げ角度と曲げR
- 穴位置の基準面と公差(特に支持点・接続点)
- 組み付け時の姿勢(広い面が向かい合うか、立てるか)
- 表面処理(錫めっき・銀めっきなど)の有無と範囲
株式会社石垣商店(名古屋市守山区瀬古)は、変圧器・配電盤・受配電設備・電池関連向けの銅ブスバー加工を専門としています。切断・穴あけ・曲げ・仕上げまでを一貫して行い、寸法や質別のご相談にも図面段階から対応しています。品質確認の考え方は品質管理のページに、ブスバーそのものの基礎についてはブスバーとはのページにまとめています。
計算の前提と実物のずれを潰すことが、短絡強度を確保する最短の道。
よくあるご質問
ブスバーに働く電磁力はどうやって計算しますか
平行な2本の導体の間に働く電磁力は、単位長さあたり F = 2×10⁻⁷ × I₁ × I₂ ÷ a [N/m] で求めます(I は電流[A]、a は導体中心間距離[m])。三相回路では中央相が最も大きな力を受け、上式におよそ0.87を掛けた値が目安になります。代入する電流は実効値ではなく波高値です。
短絡電流の波高値は実効値の何倍で見ればよいですか
波高値は「√2 × 非対称係数κ × 実効値」で求めます。受電点近傍で一般的なκ=1.8の場合、波高値は実効値の約2.5倍です。系統条件が未確定の段階では、安全側に約2.5倍を仮定して検討を始めるとよいでしょう。電磁力は電流の2乗に比例するため、実効値のまま計算すると力を約6分の1に過小評価します。
銅ブスバーの支持間隔はどのくらいが目安ですか
支持間隔は電磁力による曲げ応力が許容応力以下になる長さとして決めます。系統短絡電流12.5kA・相間距離100mm・許容曲げ応力を100 N/mm²と仮定した計算例では、5×50mmで約290mm、8×80mmで約580mm、10×100mmで約810mmという値になります。許容応力の設定や梁モデルの取り方で結果は変わるため、実設計では社内基準や適用規格に基づいて確認してください。
相間距離を広げるのと板厚を上げるのは、どちらが効きますか
電磁力は相間距離に反比例するため、相間距離を2倍にすると力は半分になります。一方、板厚は弱軸の断面係数に2乗で効くため、板厚を2倍にすると耐えられる応力は4倍になります。板厚を上げるほうが効果は大きいものの、材料費と重量が増えます。盤寸法に制約がある場合は、スパンが2乗で効くことを利用して支持を1か所増やすのが最も影響の小さい対策です。
短絡強度は電磁力だけ確認すればよいですか
いいえ、電磁力による機械的強度と、短絡電流による発熱に対する熱的強度の両方を確認する必要があります。熱的強度は「必要断面積 ≧ 短絡電流 × √通電時間 ÷ 係数k」で評価し、通電時間は上流の遮断器やヒューズが短絡を遮断するまでの時間で決まります。機械的に成立していても、断面積が不足すれば短時間の通電で導体温度が許容値を超えます。
キュービクル式高圧受電設備の短絡電流はいくつを想定しますか
キュービクル式高圧受電設備の規格 JIS C 4620(2023年に改正版が発行)は、公称電圧6.6kV・系統短絡電流12.5kA以下・受電設備容量4,000kVA以下の設備を適用範囲としています。実際の想定値は受電点の系統条件によって決まるため、電力会社から提示される短絡容量をもとに確認してください。受電容量の増設で系統短絡電流が上がった場合、既存のブスバー支持がそのまま流用できるとは限りません。
