銅クラッドアルミ(CCA)ブスバーとは|導電率・コスト・電食対策
銅クラッドアルミ(CCA、Copper Clad Aluminum)ブスバーとは、アルミニウムの芯材に銅を冶金的に接合(クラッド)した複合材のブスバー(バスバー)です。純銅より軽く安く、純アルミより導電性と接続信頼性に優れるため、銅とアルミの「どちらか」ではなく第3の選択肢として使われます。本記事では構造・導電率の目安・コストメリットと、端面にアルミが露出することで生じる電食リスクと対策を整理します。
銅クラッドアルミ
CCA
ブスバー
バスバー
IACS
電食
ASTM B1005
CCAブスバーとは何か
CCAブスバーとは、アルミ芯材の表面に銅を連続的に冶金接合した複合導体で、銅の表面特性とアルミの軽さ・コストを両立させたブスバーです。
一般的な圧延・圧接(クラッド圧延)によって、アルミニウムの芯材全体を銅の層が隙間なく覆う構造になっています。単に銅板とアルミ板を貼り合わせた積層材とは異なり、界面が金属的に結合しているため、通電中に層が剥離しにくいのが特徴です。
前提
CCAは電線分野で先に実用化された材料で、丸線を対象とするASTM B566が古くから存在します。ブスバー(角棒・平角材)向けには別規格として2017年にASTM B1005が制定されており、銅の体積比率で6クラスに区分されています。角材のCCAを検討する際は、線材用のB566ではなくB1005のクラス表記を確認してください。
導電率とIACSクラスの目安
CCAブスバーの導電率は銅被覆の体積比で決まり、代表的なクラスで72〜78%IACS程度が目安です(純銅100%IACS、純アルミ約61%IACS)。
ASTM B1005のクラス分類では、銅の体積比が大きいほど導電率が高くなります。代表的な区分と導電率の目安は次のとおりです(メーカー・ロットにより数値は前後するため、採用時は材料証明での確認が必須です)。
CCAブスバーのクラスと導電率の目安
| クラス | 銅の体積比(目安) | 導電率(IACS) |
|---|---|---|
| Class 20 | 約20% | 72%前後 |
| Class 25 | 約25% | 75%前後 |
| Class 30 | 約30% | 78%前後 |
| 純アルミ(参考) | – | 約61% |
| 純銅(参考) | – | 100% |
CCAブスバーのクラスと導電率の目安
Class 20(銅比率 約20%)
導電率 72%前後
Class 25(銅比率 約25%)
導電率 75%前後
Class 30(銅比率 約30%)
導電率 78%前後
純アルミ(参考)
導電率 約61%
純銅(参考)
導電率 100%
導電率の比較(IACS基準)
導電率がアルミより高い一方で銅より低いため、同じ電流を流す場合は純銅より断面積を大きくする必要があります。断面積と許容電流の関係は、ブスバーとはの基本に沿って材質ごとに電流密度を見直すのが基本です。純銅・純アルミとの詳しい比較表は銅ブスバーとアルミを比較の記事も参照してください。
銅・アルミ・CCAのコスト比較
CCAブスバーは芯材がアルミのため、同体積で比べると純銅より材料費を大きく抑えられ、銅相場が高騰している局面ほど差が開きます。
最新の状況(2026年時点)
2026年はLME銅価格の高止まりが続いており、アルミとの価格差が拡大しています。地金価格だけを単純比較すると、アルミはトン当たり単価で銅の3割前後にとどまることが多く、この価格差がCCA採用を後押しする最大の動機になっています。ただし地金価格は変動するため、発注時点でのメーカー見積りを必ず確認してください。
CCAのメリット
- 同体積の純銅より材料費を抑えやすい
- 純アルミより導電率・接続性に優れる
- 表面は銅のため、めっき・はんだ付けなど既存の銅向け後工程がそのまま使える
- 比重がアルミに近く、純銅より軽量
CCAのデメリット
- 純銅より導電率が低く、同電流なら断面積が増える
- 切断・穴あけ加工でアルミ芯材が露出する
- 対応できる加工会社・在庫寸法が銅やアルミほど多くない
- 長期の接続信頼性データが銅単体より少ない
端面のアルミ露出と電食対策
CCAブスバーは切断・穴あけの端面でアルミが露出するため、水分や異種金属との接触で電食(ガルバニック腐食)が進みやすく、露出面積の管理とめっき処理が対策の中心になります。
電食は、電位の異なる2種類の金属が水分(電解質)を介して接触したときに微小な電池が形成され、電位が卑な金属(この場合はアルミ)側が優先的に腐食する現象です。CCAブスバーでは切断端面や穴あけ部でアルミの芯材が露出するため、ここが電食の起点になります。
注意
露出したアルミに対して銅(または銅系の相手部材)の露出面積比が大きいほど、アルミ側の腐食電流密度が上がり腐食が進みやすくなります。端面を未処理のまま屋外・多湿環境で使うのは避けてください。
端面の電食対策として検討する項目
- 切断・穴あけ後の端面にニッケルめっきまたは錫めっきを施し、アルミを直接露出させない
- 接続部に絶縁材(ゴムパッキン等)を挟み、電解質となる水分の侵入経路を断つ
- 露出面積に対して相手金属の面積比を小さく保つ設計にする
- 屋外・高湿度環境では防食塗装や熱収縮チューブによる被覆を併用する
接続部の構造(イメージ)
CCAブスバー(表面:銅層) │ ├── 切断端面 ── アルミ芯材が露出(要めっき処理) │ └── ボルト締結部 ── 絶縁ワッシャ/パッキンで水分侵入を遮断
異材接合そのものの考え方は銅ブスバーのCu-Al異材接合でも解説しています。CCAは「材料そのものが複合material」である点が、銅板とアルミ板を後から接合するケースとは異なります。
向いている用途・向かない用途
軽量化とコスト抑制を両立したい大型・長尺のブスバーに向き、高い接続信頼性や完全な防食が最優先される箇所にはあまり向きません。
向いている用途
- 配電盤・分電盤内の長尺母線で、重量とコストを抑えたい箇所
- 据付時の運搬・施工性を優先したい大型設備
- 銅相場の変動による調達コストのブレを抑えたい案件
向かない用途・慎重な検討が必要な場面
- 屋外・塩害・多湿など腐食環境が厳しい設置場所
- 頻繁な着脱・再加工で端面が繰り返し露出する箇所
- 長期の実績データ・前例を重視する高信頼用途(鉄道・医療機器等)
発注時に確認すべきポイント
CCAブスバーを発注する際は、ASTM B1005のクラス(銅体積比)・導電率の保証値・端面処理の有無を仕様書に明記することが手戻りを防ぎます。
コツ
図面・仕様書には「CCA」とだけ書かず、クラス(例:Class 25)と導電率の保証値(例:75%IACS以上)まで指定すると、メーカー間での仕様のばらつきを防げます。また切断・穴あけ後の端面処理(めっき有無)も必ず指示してください。
一般的な純銅ブスバーの図面指示や見積りに必要な情報を踏まえたうえで、CCA特有の項目として上記を追加するイメージで仕様をまとめると検討がスムーズです。
よくあるご質問
CCAブスバーとアルミブスバーに銅めっきをしたものは同じですか?
異なります。CCAは製造段階でアルミ芯材と銅層を冶金的に一体化させた複合材で、銅層に一定の厚みと体積比があります。後から銅めっきを施したアルミブスバーは表面処理の位置づけが異なり、導電率や接続信頼性の考え方も別物として扱う必要があります。
CCAブスバーの導電率はどのくらいですか?
ASTM B1005の代表的なクラスでは、Class20で72%IACS前後、Class25で75%IACS前後、Class30で78%IACS前後が目安です(純銅100%IACS、純アルミ約61%IACS)。実際の値はメーカー・ロットにより異なるため、採用時は材料証明で確認してください。
CCAブスバーは屋外で使えますか?
使用例はありますが、切断・穴あけ端面に露出するアルミが電食の起点になりやすいため、めっき処理や絶縁パッキンなどの防食対策を前提に検討する必要があります。塩害地域や多湿環境では、純銅や防食仕様を強化したブスバーとの比較検討をおすすめします。
CCAブスバーは純銅よりどのくらい安くなりますか?
芯材がアルミのため材料費は純銅より抑えられますが、削減率は銅相場・クラス・寸法によって変わり、一律の数値では示せません。発注時点でのメーカー見積りで、同じ許容電流を満たす断面積同士を比較することをおすすめします。
CCAブスバーと銅・アルミのクラッド接合材(接続部材)は同じものですか?
目的が異なります。CCAはブスバー本体の材料そのものを複合化したものですが、銅・アルミのクラッド接合材は異種金属どうしを接続するための部材(継手)として使われます。どちらも電食対策として銅・アルミを組み合わせる発想は共通していますが、使う場所が違います。
