銅ブスバーの追加工は依頼できる?図面・写真の伝え方
銅ブスバー(バスバー)の追加工は、図面が無くても相談できます。既設の盤や既に手元にある現物に穴やタップを追加したいとき、必要なのは現物の写真(または手書きスケッチ)と、位置・寸法が分かる簡単な情報だけです。この記事では、追加工を依頼するときに何を伝えればよいか、新規製作との判断の分け方、穴あけ・タップ加工で確認しておきたい注意点を、発注側の目線で整理します。
銅ブスバー
追加工
穴あけ
タップ加工
既存品
図面
写真
銅ブスバーの追加工とは
追加工とは、既に手元にある銅ブスバー・銅バーに対して、穴あけ・タップ・切断・曲げなどを後から行う加工のことです。新規製作とは異なり、現物の形状をベースに手を加えます。
配電盤の改造で分岐を1系統増やす、増設した機器に合わせて取付穴を追加する、識別のために刻印を入れる――こうした場面では、材料から新規に作り直すより、手元の既存品に手を加えるほうが早く・安く済むことが多いです。実際、銅バーは比較的自由に穴数や形状を変更できる素材で、既存の設計にとらわれず追加工を前提に相談できます。
前提
追加工は「現物がある」ことが前提です。現物が手元に無い(現地の盤に組み込まれたままなど)場合は、現地での寸法確認や、現物の取り外しが必要になることがあります。まずは写真と大まかな寸法で相談し、必要な確認方法を一緒に詰めていく形で問題ありません。
図面が無いときに伝える情報
図面が無くても、現物の写真と「形・寸法・板厚・材質・追加したい加工の内容」が伝われば見積もりの検討が始められます。
板金・銅バー加工の依頼では、CADデータや加工図面がある場合はそれを使いますが、無い場合は手書きの図やスマートフォンで撮った写真から形状を読み取って部品図に起こすことも可能です。「これと同じものに、ここに穴を1つ追加してほしい」という伝え方でも、必要な情報が揃えば検討できます。
追加工の相談時に伝えたいこと
- 現物の写真(全体が分かるもの+追加工したい箇所の寄り)
- おおよその外形寸法(長さ・幅・板厚)
- 材質(分かれば。不明なら「分からない」でも可)
- 追加したい加工の内容(穴の位置・径、タップの呼び径、曲げの角度など)
- 数量と希望時期
- 用途(通電する箇所かどうか。許容電流に関わるため)
穴の位置は、写真に手書きで印を付けたり、端からの距離を数値で添えると伝わりやすくなります。「だいたいこの辺り」より「端から30mmの位置に」のほうが、見積もり段階での認識ずれを防げます。
伝える情報と、無くても相談できるかの目安
| 情報 | 伝え方の例 | 無い場合 |
|---|---|---|
| 現物の写真 | 全体+追加工箇所の寄り2〜3枚 | 必須に近い |
| 外形寸法 | 長さ・幅・板厚(定規やメジャーで概算可) | 概算でも相談可 |
| 材質 | C1100/C1020など。不明可 | 不明でも相談可 |
| 加工内容 | 穴径・位置、タップの呼び径 | 要望レベルでも相談可 |
| 図面・CADデータ | あれば添付 | 無くても相談可 |
伝える情報と、無くても相談できるかの目安
現物の写真
全体+追加工箇所の寄り2〜3枚/必須に近い
外形寸法
長さ・幅・板厚(概算可)/相談可
材質
C1100/C1020など/不明でも相談可
加工内容
穴径・位置、タップ呼び径/要望レベルでも可
図面・CADデータ
あれば添付/無くても相談可
新規製作と追加工、どちらを選ぶか
既存品の形状がそのまま使え、追加したい加工が穴・タップ・端部仕上げ程度であれば追加工が有利です。板厚や形状そのものを変える必要がある場合は新規製作を検討します。
追加工が向く場合
- 既存品の板厚・幅・長さはそのままでよい
- 穴・タップ・刻印・端面仕上げの追加だけで済む
- 現物が手元にある、または取り外せる
- 短納期・少量で、材料費を抑えたい
新規製作が向く場合
- 板厚・幅・曲げ形状そのものを変更したい
- 現物が無い、または損傷・腐食が進んでいる
- 通電容量を上げるなど設計条件が変わった
- 複数個を同一仕様で揃えたい
2026年の材料費の状況
2026年10月の国内銅建値は月間平均で1キログラムあたり1,600円台後半の水準で推移しており、月内の改定でも1,570円〜1,730円台の間で変動しています(LME銅価格と為替の影響を強く受けるため、見積り時点の建値で確認が必要です)。材料費の比率が上がっている局面では、板厚・形状を変えない追加工のほうが、新規製作より材料費の影響を受けにくいという判断材料になります。
穴あけ・タップ加工で確認すべき注意点
追加工で穴やタップを加える位置は、通電する断面積を減らすため、既存の設計条件(許容電流)に影響しないかを確認してから加工します。
注意
通電経路に穴を追加する場合、その位置の断面積が減ることで、同じ電流を流したときの温度上昇が変わることがあります。追加工の相談時には「その箇所に電流が流れるか」「どれくらいの電流が流れる想定か」を伝えてください。装飾・固定目的の穴(ブラケット固定など)であれば、通電への影響は基本的にありません。
端子接続部に近い位置へタップを追加する場合は、既存の接続部との干渉や、縁距離(穴の中心から端部までの距離)が極端に狭くならないかも確認点です。縁距離が狭いと、締結時に端部が変形したり、強度が不足する原因になります。
追加工箇所の伝え方の例
現物の写真に手書きで追記する例 ┌───────────────┐ │ 既存バー │ │ ●←ここにΦ8穴 │ │ │(端から約30mm)│ └───────────────┘
コツ
写真は、追加工箇所だけでなく「全体が入った1枚」も必ず添えてください。寄りの写真だけだと、バー全体のどのあたりの話か、他の穴との位置関係が分からず、見積もりの精度が下がります。
よくある追加工の内容
追加工として多いのは、穴あけ・タップ・長穴・端面仕上げ・刻印の5種類です。いずれも現物をベースに後から加える加工で、新規製作ほどの納期はかかりません。
追加工の種類と確認ポイント
| 加工内容 | よくある目的 | 確認しておくこと |
|---|---|---|
| 丸穴の追加 | 端子・ブラケットの固定 | 通電箇所か/縁距離 |
| タップ加工 | ねじ締結部の追加 | 呼び径・ねじ深さ |
| 長穴の追加 | 位置調整を持たせたい分岐 | 長さ・幅・端部R |
| 端面仕上げ | 切断面のバリ取り・丸め | 通電・安全面の必要性 |
| 刻印・マーキング | 相識別・取り違え防止 | 刻印位置・深さ |
追加工の種類と確認ポイント
丸穴の追加
端子・ブラケットの固定/通電箇所か・縁距離
タップ加工
ねじ締結部の追加/呼び径・ねじ深さ
長穴の追加
位置調整を持たせたい分岐/長さ・幅・端部R
端面仕上げ
切断面のバリ取り・丸め/通電・安全面の必要性
刻印・マーキング
相識別・取り違え防止/刻印位置・深さ
長穴を追加する場合は、通常の丸穴より有効断面積が大きく減るため、電流値が大きい箇所では事前確認がより重要になります。刻印・マーキングは取り違え防止の目的で追加されることが多く、既存品が複数本ある場合にまとめて依頼されるケースもあります。
依頼から納品までの流れ
写真と要望内容を送ってから、形状確認・見積り・加工・検査・納品という流れで進みます。図面を起こす工程が間に入る点が新規製作と異なります。
追加工の進め方
- 現物の写真・寸法・加工内容の要望を送る
- 形状と加工可否を確認(必要なら現物を預かって実測)
- 簡易図面の起こしと見積り回答
- 内容確認後、加工・検査
- 納品(現物を送っていた場合は返送分と合わせて)
加工の詳細な考え方は加工技術のページ、材質やJIS規格についてはブスバーとはのページも参考にしてください。仕上がりの品質確認については品質管理のページで考え方を紹介しています。
よくあるご質問
図面が無くても追加工を依頼できますか?
はい、依頼できます。現物の写真(全体+追加工箇所の寄り)と、おおよその寸法・加工内容が伝われば検討を始められます。図面が必要な場合は、写真や要望をもとにこちらで簡易図面を起こします。
現物を送らずに、写真だけで見積もりはできますか?
写真だけでも概算の見積もりは可能です。ただし正式な加工・納期確定の前には、現物の実測や現物自体の預かりをお願いする場合があります。寸法の誤差が加工精度に影響するためです。
穴を追加すると、その銅ブスバーの許容電流は下がりますか?
通電経路上に穴を追加すると、その位置の断面積が減るため、温度上昇の条件によっては許容電流の見直しが必要になる場合があります。固定用など通電に関係しない穴であれば影響はありません。想定する電流値を伝えていただければ確認します。
材質が分からない既存品でも追加工できますか?
材質が不明でも相談可能です。写真や現物の状態から材質を推定したうえで、加工方法を検討します。正確な材質確認が必要な場合は、現物の一部を使った成分確認などの方法を案内します。
タップ加工だけ、穴あけだけといった小さい依頼でも対応してもらえますか?
対応しています。穴1つ・タップ1箇所といった小ロット・単発の追加工のご相談も多くいただいています。まずは現物の写真と加工したい内容をお送りください。
