バスバー(ブスバー)の材質一覧|銅・アルミ・真鍮の選び方
バスバー(ブスバー)の材質には、銅(タフピッチ銅C1100・無酸素銅C1020)・アルミニウム・真鍮(黄銅)があります。結論から言うと、大電流を省スペースで流したいなら銅、重量を優先するなら軽いアルミ、通電部材ではなく端子やネジなど小物に使うなら真鍮が基本の選び分けです。この記事では導電率・強度・用途の違いを表とグラフで整理し、発注時にどう指定すればよいかまでまとめます。
バスバー
ブスバー
材質
銅 アルミ 真鍮
導電率
C1100 C1020
材質選定
この記事の内容
バスバーの材質にはどんな種類があるか
バスバー(ブスバー)の材質は主に銅・アルミニウム・真鍮の3系統で、電力設備では銅が標準材料です。
バスバーとは、電気機器内部で電流を流す板状・棒状の導体のことです。「バスバー」は英語busbarの音写、「ブスバー」は日本の電気工事現場で古くから使われてきた呼び方で、同じものを指します(両表記とも検索されるため本記事では併記します)。詳しい役割はブスバーとはでも解説しています。
バスバーに使われる主な材質
| 材質 | 代表的な材質記号 | 主な採用理由 |
|---|---|---|
| タフピッチ銅 | C1100 | 導電率が高く曲げ加工もしやすい。流通量が多く汎用的 |
| 無酸素銅 | C1020 | 水素脆化を避けたい高信頼用途・ろう付け/溶接が多い用途 |
| アルミニウム | A1050など | 銅より軽く、重量を抑えたい大型バーや輸送重視の用途 |
| 真鍮(黄銅) | C2600・C3604など | 硬く切削性が良いが導電率は低いため端子・ネジ等の小物向け |
バスバーに使われる主な材質
タフピッチ銅(C1100)
導電率が高く曲げやすい。最も一般的
無酸素銅(C1020)
水素脆化を避けたい高信頼用途向け
アルミニウム(A1050など)
銅より軽量。大型バー・輸送重視
真鍮(黄銅 C2600等)
導電率は低く、端子・ネジ等の小物向け
前提
銅の中でもC1100とC1020は、導電率そのものはほぼ同等です。違いは不純物(酸素量)の扱いで、C1020は水素脆化を避けたい用途やろう付け・溶接が多い構造で選ばれます。通常の変圧器・配電盤向けバスバーはC1100で十分なケースが大半です。
銅とアルミ、導電率にどれくらい差があるか
銅の導電率を100%とすると、アルミは約61%、真鍮は約28%です。同じ電流を流すにはアルミは銅より太い断面積が必要になります。
導電率は「IACS(国際標準軟銅規格)」という基準で比較するのが一般的で、タフピッチ銅・無酸素銅はいずれも100%IACS以上です。アルミニウムは軽量な半面、同じ断面積で比べると流せる電流は銅より少なくなるため、アルミで銅と同等の電流を流すには断面積を増やす必要があります。
材質別の導電率比較(銅=100%としたときの目安)
注意
アルミは比重が銅の約3分の1(約2.7)と軽いため、「同じ重量」で比べると電流を流す能力はアルミの方が有利になる場面もあります。ただし断面積が増える分、設置スペース・接続部の設計(異種金属接触による電食対策など)が変わる点は見落とされがちです。銅とアルミの使い分けの詳しい判断基準は銅ブスバーのメリットでも整理しています。
真鍮(黄銅)はバスバーに向くか
真鍮は導電率が銅の約28%と低いため、通電そのものを担うバスバー本体にはほとんど使われません。端子・ネジ・金具など接続部品が主な用途です。
真鍮(黄銅)は銅と亜鉛の合金で、硬く切削性に優れる一方、曲げ加工には弱く、導電率も銅・アルミより大きく劣ります。そのため「バスバー本体」として採用されることはまれで、バスバーを固定する端子台・ネジ・金具といった、導電よりも機械的な強度や加工のしやすさが求められる部品に使われています。
例えば銅で60mm²の断面が必要な場合、アルミ(導電率約61%)に置き換えると概算で約98mm²前後が目安になります(実際は表皮効果・温度条件等で変わるため、最終的には設計計算での確認が必要です)。
重量・コストの考え方
同じ長さ・断面積で比べると、アルミの重さは銅の約3分の1です。一方で必要な電流を流すにはアルミの方が断面積が大きくなるため、重量差は数値のまま単純比較できません。
材質を比較するとき、比重だけを見て「アルミの方が軽いから有利」と判断するのは早計です。アルミは導電率が銅より低い分、同じ電流を流すには断面積を大きくする必要があり、結果として重量差は比重の差ほど開かないことがあります。発注時のコストも、材料そのものの価格だけでなく、断面積が増えることによる材料使用量の増加、加工のしやすさ(曲げ・穴あけの歩留り)まで含めて比較する必要があります。
材質ごとの比重と重量の考え方
| 材質 | 比重(目安) | 同一電流での断面積 | 重量の傾向 |
|---|---|---|---|
| 銅(C1100/C1020) | 約8.9 | 基準 | 断面積は小さいが比重が重い |
| アルミニウム | 約2.7 | 銅の約1.6倍前後が目安 | 比重差ほど軽くはならないが総じて軽い |
| 真鍮(黄銅) | 約8.5 | 通電用途では非対象 | 接続部品としての重量で検討 |
材質ごとの比重と重量の考え方
銅(C1100/C1020)・比重約8.9
断面積は基準(小さい)が比重が重い
アルミニウム・比重約2.7
断面積は銅の約1.6倍前後が目安。総じて軽い
真鍮(黄銅)・比重約8.5
通電用途では非対象。接続部品として検討
注意
「断面積が銅の約1.6倍前後」は導電率の比(100%/61%)から単純計算した目安です。実際の設計では表皮効果(交流での電流の偏り)・周囲温度・放熱条件によって必要な断面積が変わるため、最終的な寸法は許容電流の計算で確認してください。
用途別の選び方(判断基準)
省スペースで大電流を流したいなら銅、重量を最優先するなら軽量なアルミ、通電を担わない接続部品には真鍮を選ぶのが基本です。
銅を選ぶ場面
- 盤内・機器内でスペースに制約がある
- 大電流を細い断面で流したい
- 曲げ・穴あけなど複雑な加工が多い
- 長期信頼性(酸化・接触抵抗)を重視したい
アルミを検討する場面
- 車両・可搬機器など軽量化が優先される
- 設置スペースに余裕がある大型バー
- 材料コストの変動を抑えたい
材質を決めるときに確認する順番
- 必要な電流値と許容される断面積・設置スペースを決める
- 重量制約(可搬・車載など)があるかを確認する
- 曲げ・穴あけなど加工の複雑さを洗い出す
- 異種金属を接続する場合は電食対策(めっき・専用部材)を検討する
- 以上を踏まえて銅/アルミ/(接続部品の)真鍮を割り当てる
2026年の銅相場と材質選定への影響
2026年も銅相場は高値圏での推移が続いており、材質選定でアルミ代替を相談する動きが増えていますが、断面積・接続部設計の見直しが伴うため慎重な比較が必要です。
2026年時点の状況
2026年はLME(ロンドン金属取引所)の銅相場が8月に14,326ドル/トンの高値を記録するなど、高値圏での推移が続いています(LME価格は為替レートとの掛け算で国内建値に反映されます)。相場が高止まりする局面では「アルミへの切り替えで材料費を抑えられないか」という相談が増えますが、アルミは断面積を増やす必要があるため省スペース性が落ちることや、銅とアルミを接続する場合は電位差腐食(電食)対策(めっき・専用の接続部材)が別途必要になる点まで含めて比較することが大切です。
図面・発注時の材質指定の書き方
図面には材質記号(C1100・C1020など)と質別(O材・1/2Hなど)をセットで指定すると、加工先での解釈のずれを防げます。
「銅」とだけ指定すると、タフピッチ銅か無酸素銅か、軟質(O材)か硬質(1/2Hなど)かが加工先ごとに異なる解釈をされる可能性があります。材質記号と質別を併記することで、曲げ加工性や強度の前提がそろい、再製作時にも同じ材料を指定できます。
コツ
初めて図面を書く場合や材質の指定に迷う場合は、記号を無理に埋めず「用途(電流値・設置環境・曲げの有無)」を伝えるだけでも相談できます。材質記号への落とし込みは加工先と一緒に決めても問題ありません。品質管理の考え方は品質管理のページもあわせてご覧ください。
よくあるご質問
バスバーの材質は銅以外にもありますか?
はい。電力設備では銅(タフピッチ銅C1100・無酸素銅C1020)が標準ですが、軽量化を優先する用途ではアルミニウムも使われます。真鍮(黄銅)は導電率が低いため、バスバー本体ではなく端子やネジなどの接続部品に使われます。
アルミバスバーは銅より劣化しやすいですか?
材質自体の劣化しやすさというより、銅とアルミを直接接続する箇所で電位差腐食(電食)が起きやすい点に注意が必要です。異種金属を接続する場合は、めっきや専用の接続部材で対策します。
真鍮はバスバーに使われますか?
真鍮(黄銅)は導電率が銅の約28%と低いため、通電を担うバスバー本体にはほとんど使われません。硬さと切削性を活かして、端子台やネジなどの接続部品に使われています。
C1100とC1020はどちらを選べばよいですか?
導電率はほぼ同等です。通常の変圧器・配電盤向けバスバーはC1100(タフピッチ銅)で十分な場合が大半で、ろう付け・溶接が多い構造や高い信頼性が求められる用途でC1020(無酸素銅)が選ばれます。迷う場合は用途を伝えて相談するのが確実です。
材質選定で一番大事な基準は何ですか?
必要な電流値に対する断面積と設置スペースの両立が最初の基準です。そのうえで重量制約の有無、曲げ・穴あけなど加工の複雑さ、異種金属接続の有無を確認し、銅・アルミ・(接続部品としての)真鍮を割り当てます。
銅とアルミで重量はどのくらい変わりますか?
比重だけならアルミは銅の約3分の1ですが、同じ電流を流すにはアルミの断面積を銅の1.6倍前後に増やす必要があるため、実際の重量差は比重差ほど大きくなりません。設計では断面積込みで比較することが大切です。
