オンス銅板とは?厚み換算表とmm表記との違いを解説
「オンス銅板」とは、電子基板の分野で使われる銅箔の厚み表記で、1oz(オンス)は約35μmに相当します。もともとは「1平方フィートに何オンスの銅が乗っているか」という重さの単位を、厚みの目安として流用したものです。この記事では、オンスからmm・μmへの換算表、銅バー・ブスバー(バスバー)で使われるmm表記との違い、発注・図面でオンス表記を見たときの注意点を、2026年時点の情報で整理します。
オンス銅板
oz 厚み換算
銅箔 μm
プリント基板
厚銅基板
ブスバー
JIS C6515
この記事の内容
オンス銅板とは
オンス銅板とは、プリント基板に貼られる銅箔の厚みを「oz(オンス)」という単位で表したものです。1oz銅箔は約35μm(0.035mm)、2oz銅箔は約70μm(0.070mm)というように、オンスの数字が大きいほど銅が厚いことを示します。もとは重さの単位ですが、基板業界では実質的に「厚みの呼び名」として定着しています。
オンス銅板は基板用銅箔の厚み表記で、1oz≒35μmが基準になります。
なぜ「重さ」で厚みを表すのか
オンス表記は、1平方フィート(ft²)の面積に銅を均一に広げたときの重さを基準にしています。1oz=28.35gなので、この重さの銅を1ft²(約929cm²)の板に広げたときの厚みを、銅の比重8.93g/cm³から逆算すると約35μmになります。
前提
この計算はプリント基板業界の慣例で、基板メーカーの多くが1oz=35μmとして扱っています(厳密な計算値は約35.6μmですが、業界慣行として35μmに丸めるのが一般的です)。図面や見積りで厳密な公差が必要な場合は、基板メーカーの仕様書で実測値を確認してください。
1ozは「1ft²あたり28.35gの銅」の重さを、比重から厚みに逆算した値です。
オンス→mm・μm 換算表
プリント基板で実際に使われる主なオンス表記と、mm・μmへの換算目安は次のとおりです。
オンス表記とmm・μm換算の目安
| オンス表記 | 厚み(μm) | 厚み(mm) | 主な用途 |
|---|---|---|---|
| 1/3oz | 約12.5μm | 約0.0125mm | 薄型・高密度基板 |
| 1/2oz | 約18μm | 約0.018mm | 信号層・多層基板の内層 |
| 1oz | 約35μm | 約0.035mm | 標準的な基板の銅箔厚 |
| 2oz | 約70μm | 約0.070mm | 電源系・大電流パターン |
| 3oz | 約105μm | 約0.105mm | 電源基板・厚銅基板の入口 |
| 4oz | 約140μm | 約0.140mm | 厚銅基板(Heavy Copper) |
| 6oz | 約210μm | 約0.210mm | 大電流・パワーエレクトロニクス |
オンス表記とmm・μm換算の目安
1/3oz
約12.5μm(約0.0125mm)/ 薄型・高密度基板
1/2oz
約18μm(約0.018mm)/ 信号層・多層基板の内層
1oz
約35μm(約0.035mm)/ 標準的な基板の銅箔厚
2oz
約70μm(約0.070mm)/ 電源系・大電流パターン
3oz
約105μm(約0.105mm)/ 電源基板・厚銅基板の入口
4oz
約140μm(約0.140mm)/ 厚銅基板(Heavy Copper)
6oz
約210μm(約0.210mm)/ 大電流・パワーエレクトロニクス
注意
表の数値は「めっき前の銅箔厚み」の目安です。実際の基板は製造工程でめっきが加わり、仕上がり厚みが表記より数μm〜十数μm厚くなることがあります。厳密な仕上がり厚みは基板メーカーの仕様(参考規格:JIS C 6515「プリント配線板用銅はく」)で確認してください。
オンス数と厚み(μm)の関係(6oz=100%とした場合)
1ozは約35μm、2ozは約70μmが目安で、オンス数に比例して厚みが増えます。
圧延銅箔と電解銅箔の違い
オンス表記で扱われる銅箔には、製法の違いで「電解銅箔」と「圧延銅箔」の2種類があります。どちらもオンスで厚みを呼びますが、材料としての性質は異なります。
電解銅箔
- 硫酸銅溶液から電気めっきで生成
- 量産向けで比較的コストが安い
- 一般的な基板(リジッド基板)の主流
圧延銅箔
- 銅の塊を圧延して薄く延ばして製造
- 柔軟性が高く、屈曲耐性に優れる
- フレキシブル基板(FPC)や繰り返し屈曲する配線に使用
補足
圧延銅箔は厚みをμmで直接指定されることも多く、オンス表記と併記される場合があります。図面でオンス表記だけが書かれている場合は、どちらの製法を前提にしているかも合わせて確認すると、材料の性質面での手戻りを防げます。
同じオンス表記でも、電解銅箔と圧延銅箔では製法と特性が異なります。
オンス表記とmm表記(ブスバー)の違い
同じ「銅の厚み」でも、プリント基板の銅箔は「オンス(μm単位)」、銅バー・ブスバー(バスバー)のような構造材・大電流導体は「mm単位」で表記するのが一般的です。扱う厚みの桁が大きく異なるため、単位を混同すると手配ミスにつながります。
オンス表記(基板用銅箔)
- 単位:oz(重さ由来)→ μm・mmに換算
- 厚みの目安:0.0125mm〜0.35mm程度
- 用途:プリント基板のパターン・配線層
- 厚みを増やす目的:主に電流容量・放熱
mm表記(銅ブスバー・銅バー)
- 単位:mm(板厚・幅で直接指定)
- 厚みの目安:数mm〜20mm程度
- 用途:配電盤・変圧器・受配電設備の導体
- 厚みを増やす目的:許容電流・機械的強度
補足
「オンス銅板」という言葉自体は基板業界の呼び方ですが、銅板・銅バーを扱う商社や加工会社では、基板設計者からの問い合わせで「オンス」表記のまま質問を受けることがあります。銅バー・ブスバーの見積りや図面は基本的にmm単位で進むため、オンス表記の場合は換算表(前章)でmm・μmに置き換えてから板厚を指定するのが確実です。
オンス表記は基板用銅箔(μm単位)、ブスバー・銅バーはmm単位で扱われ、単位の体系が異なります。
厚銅基板と大電流設計での使われ方
近年は、標準的な1oz・2ozを超える「厚銅基板(Heavy Copper)」の採用が増えています。目安として4oz(約140μm)以上を厚銅基板と呼ぶことが多く、電源回路・パワーエレクトロニクス・EVの高出力モータ制御・蓄電池システムなど、大電流を扱う基板で選ばれています。
コツ
厚銅基板は電流容量を確保しつつ基板を小型化できる一方、板厚が増すほど加工(穴あけ・端面処理)の難易度も上がります。基板レベルで大電流化が難しい場合は、基板と銅バー(ブスバー)を組み合わせて電流経路を分担する設計もよく使われます。
4oz以上の厚銅基板は、EVや蓄電池など大電流を扱う電源回路で採用が増えています。
発注・図面での注意点
オンス表記の板厚を扱う際は、次の点で認識のズレが起きやすいので注意が必要です。
注意
「1oz=35μm」は業界慣行としての丸め値であり、メーカーや工程によって仕上がり厚みに数μmの差が出ます。厳密な公差管理が必要な設計では、図面にオンス表記だけでなく実測のμm・mm値も併記してもらうと、発注先とのすり合わせがスムーズです。
確認しておきたいこと
- 指定がオンス(基板の銅箔)なのか、mm(銅板・銅バーの板厚)なのかを最初に確認する
- めっき前の銅箔厚みか、仕上がり厚みかを確認する
- 厳密な公差が必要な場合は材料証明・検査成績書の発行可否も合わせて確認する
オンス表記は丸め値のため、厳密な公差が必要な場合はμm・mmでの実測値を確認して手配します。
よくあるご質問
1オンス銅板は何ミリですか?
1オンス(1oz)は約0.035mm(35μm)が業界慣行での目安値です。厳密な計算値は約35.6μmですが、基板業界では35μmに丸めて扱うのが一般的です。
オンスは重さの単位なのに、なぜ厚みを表せるのですか?
オンスは「1平方フィートあたりの銅の重さ」を基準にした表記です。銅の比重(8.93g/cm³)は一定なので、面積と重さが分かれば厚みを一意に計算でき、結果として厚みの単位のように使われています。
銅バー・ブスバーもオンスで厚みを指定できますか?
銅バー・ブスバー(バスバー)は数mm〜20mm程度の板厚を扱うため、通常はmm単位で指定します。オンス表記はプリント基板の薄い銅箔向けの単位のため、板厚が大きい構造材にはあまり使われません。
厚銅基板とは何オンス以上を指しますか?
明確な業界統一定義はありませんが、目安として4oz(約140μm)以上を厚銅基板(Heavy Copper)と呼ぶことが多く、電源回路や大電流用途の基板で使われます。
海外の図面でオンス表記が出てきた場合はどうすればよいですか?
海外(特に米国系)の基板図面や仕様書ではオンス表記が主流です。国内でmm・μm単位に統一したい場合は、本記事の換算表を使ってオンスからmm・μmに置き換え、必要であれば基板メーカーやサプライヤーに換算後の実測値を確認してもらうと安全です。
