用途・事例

分岐バーとは?分電盤の分岐母線の役割とサイズの決め方

分岐バーとは、分電盤や配電盤の中で主母線から電気を枝分かれさせ、各ブレーカーへ電気を渡す銅バー(ブスバー・バスバー)のことです。この記事では、主母線との役割の違い、必要な容量からサイズ(幅・厚み)を決める考え方、取付に使うビスサイズの目安、発注前に確認しておきたい項目を順番に解説します。2026年時点でも参照される規格はJIS C 8480(キャビネット形分電盤)が中心です。

分岐バー
分電盤
分岐母線
銅バー
ブスバー
ビスサイズ

分岐バーとは何か

分岐バー(分岐母線)とは、分電盤・配電盤・キュービクルの内部で、主母線から分かれて各ブレーカーやユニットへ電気を配る帯状の銅導体(ブスバー、現場では「バスバー」とも呼ばれる)です。導線(電線)で1本ずつ配線するより接続点が少なく、電気抵抗も小さいため、限られた盤内スペースで多回路への分岐を安定してこなせます。

前提

「主幹バー」「分岐バー」という呼び方は業界・メーカーによって表記が揺れます。本記事では、盤の入口側にある太い母線を「主母線(主幹バー)」、そこから枝分かれして各ブレーカーへ渡る側を「分岐バー(分岐母線)」として整理します。盤用パーツのカタログでは「渡りバー」「分岐母線バー」という呼び方で扱われることもあり、いずれも指しているものはほぼ同じです。呼び方が分からないまま発注先を探している場合は、図面や現物の写真を見せながら「主母線から各ブレーカーへ電気を渡している銅の板」と伝えれば話が通じます。

主母線と分岐バーの役割の違い

主母線は盤全体の受電容量をまとめて受け止める太い導体、分岐バーは主母線から必要な分だけを各回路へ振り分ける導体です。同じ銅バーでも、求められる断面積と機械的な支持の考え方が異なります。

主母線(主幹バー)

  • 受電容量(主幹ブレーカー容量)をそのまま流す
  • 断面積・支持間隔とも大きめに設計される
  • 短絡電流に対する機械的強度(電磁力対策)が特に重要

分岐バー(分岐母線)

  • 各分岐ブレーカーの定格電流分だけを流せばよい
  • 主母線より断面積を絞れる分、盤内レイアウトの自由度が上がる
  • 接続点(ビス止め)が増えるため、接触抵抗・締結管理が要点になる

主母線は「盤全体の容量」、分岐バーは「回路ごとの容量」で考えるのが役割の違いです。

容量から分岐バーのサイズを決める考え方

分岐バーの幅・厚みは、その分岐で流す電流(分岐ブレーカーの定格電流)から断面積を逆算し、標準的な板厚・幅の組み合わせに当てはめて決めます。目安として、断面積1mm²あたり約2〜3Aという考え方が広く使われていますが、これは周囲温度・盤内の通風・複数バーの並び方など設置条件によって変わる目安値であり、この数値だけで断定はできません(詳しい考え方はブスバーとはのページも参照してください)。

分岐容量ごとの断面積・板厚の目安

分岐ブレーカー容量 断面積の目安 板厚×幅の一例
30〜50A 約15〜25mm² 3mm×10mm前後
75〜100A 約30〜50mm² 3mm×15〜20mm前後
150〜225A 約60〜110mm² 5mm×15〜25mm前後
300〜400A 約120〜200mm² 5mm×30〜40mm前後

分岐容量ごとの断面積・板厚の目安

30〜50A

断面積 約15〜25mm² / 板厚3mm×幅10mm前後

75〜100A

断面積 約30〜50mm² / 板厚3mm×幅15〜20mm前後

150〜225A

断面積 約60〜110mm² / 板厚5mm×幅15〜25mm前後

300〜400A

断面積 約120〜200mm² / 板厚5mm×幅30〜40mm前後

注意

上の目安は「断面積1mm²あたり2〜3A」という一般的な考え方から逆算した参考値です。実際の設計では、盤の温度上昇試験の判定基準(JIS C 8480など)や、周囲温度・複数バーの配置による相互加熱を踏まえて、盤メーカー・製作者側の仕様で最終決定する必要があります。目安だけで断面を決め切らないでください。

分岐バーのサイズを決める手順

  • 分岐ブレーカーの定格電流(分岐容量)を確認する
  • 電流密度の目安(約2〜3A/mm²)から必要断面積を仮決めする
  • 標準的な板厚・幅の組み合わせに当てはめる(薄すぎる/細すぎる形状は避ける)
  • 接続部のビス穴・ピッチを踏まえた有効断面積で再確認する
  • 温度上昇の判定基準を満たすか、可能であれば実測・試験で確認する

取付とビスサイズの目安

分岐バーの取付・接続に使うビス(ボルト)は、流す電流が大きいほど太いサイズが選ばれる傾向があります。目安として、100A程度まではM6、100〜225A程度ではM8、225〜400A程度ではM10前後が使われることが多いですが、これは接続部品・端子台メーカーの仕様に依存するため、必ず採用する部品のカタログ値に従ってください。

容量帯ごとのビスサイズの目安(参考)

容量帯 ビスサイズの目安 備考
〜100A程度 M6 接続部品の仕様で確認
100〜225A程度 M8 同上
225〜400A程度 M10 同上

容量帯ごとのビスサイズの目安(参考)

〜100A程度

ビスサイズ M6(接続部品の仕様で確認)

100〜225A程度

ビスサイズ M8(同上)

225〜400A程度

ビスサイズ M10(同上)

締め付けトルクについて

締め付けトルクはビスの材質・強度区分・座金の有無で変わるため、本記事では特定の数値を断定しません。使用する端子台・接続部品のメーカーが指定するトルク値に従い、増し締め・点検の記録を残すことをおすすめします(トルク管理の考え方は加工技術のページでも触れています)。

分岐バーの取付イメージ

分岐バーは、盤の入口にある主母線から枝分かれし、各ブレーカーの1次側端子へビスで接続されます。文章だけだと分かりにくいため、簡易的な構造を図で示します。

盤内の接続イメージ

  受電 ── 主幹ブレーカー ── 主母線(主幹バー)
                              │
              ┌───────────┼───────────┐
         分岐バー(分岐母線)  分岐バー         分岐バー
              │               │               │
          分岐Br.1         分岐Br.2        分岐Br.3
  

主母線から複数の分岐バーが枝分かれし、それぞれが1つ以上の分岐ブレーカーへつながる構造です。

分岐バーの表面処理と絶縁の考え方

分岐バーは接続点(ビス止め)が多いため、接触抵抗を安定させる表面処理が重要になります。一般的には錫めっき・ニッケルめっきが使われ、屋外や湿気の多い環境では耐食性を重視しためっき選定が必要です(めっきの種類ごとの特徴は銅ブスバーへのめっきのページで詳しく解説しています)。また、隣り合う分岐バー同士の絶縁距離(空間距離・沿面距離)は盤の設計基準に従う必要があり、分岐バーの本数が多い盤ほど配置と絶縁の検討に時間がかかります。

注意

分岐バーの本数が増えると、盤内の空間距離・沿面距離の確保が難しくなりがちです。板厚・幅だけでなく、隣接する分岐バーとの間隔まで含めてレイアウトを検討してください。

発注前に確認しておきたい項目

分岐バーを図面から製作依頼する場合、電流値・板厚・幅に加えて、ビス穴の位置と径、めっきの有無、盤内での取付姿勢(水平/垂直)を伝えると、手戻りの少ない見積りにつながります。取付姿勢は放熱条件に影響するため、水平配置か垂直配置かで許容電流の考え方が変わる点も合わせて伝えると、設計側とのやり取りがスムーズになります。

見積り依頼時に伝えるとよい情報

  • 各分岐の電流値(分岐ブレーカーの定格電流)
  • 板厚・幅の希望、または受電容量からの相談可否
  • ビス穴の位置・径・ピッチ(既存の端子台・ブレーカーに合わせる場合は型式も)
  • めっきの有無・種類(錫/ニッケル/銀など)
  • 盤内での取付姿勢(水平/垂直)と、周囲にある他の分岐バーとの間隔
  • 数量・納期の希望

コツ

図面が無い場合でも、現物の写真や手書きスケッチに「電流値」「幅・厚み」「穴位置」の3点が入っていれば相談できます。めっきの種類(錫・ニッケル・銀など)で迷う場合は、使用環境(屋内/屋外、接続頻度)を伝えると選定しやすくなります。

2026年時点の状況

分岐バーが準拠する分電盤の規格はJIS C 8480(キャビネット形分電盤)が中心で、2026年時点で大きな改訂の動きは確認されていません。一方で、蓄電池・データセンター向け設備の増加により、標準的な住宅用分電盤より大容量の分岐(150A超)を扱う相談は増える傾向にあります。容量が大きい分岐ほど、目安値だけに頼らず盤メーカー・製作者との個別確認が必要になります。

よくあるご質問

分岐バーと主母線(主幹バー)は何が違いますか?

主母線は盤全体の受電容量をまとめて受け止める太い導体、分岐バーは主母線から各ブレーカーへ必要な分だけを振り分ける導体です。求められる断面積や機械的強度の考え方が異なります。

分岐バーのサイズはどう決めればよいですか?

分岐ブレーカーの定格電流から、断面積1mm²あたり約2〜3Aという目安で必要断面積を仮決めし、標準的な板厚・幅に当てはめます。ただし周囲温度や設置条件で変わるため、最終的には盤メーカーの温度上昇試験や仕様確認が必要です。

分岐バーの取付ビスはどのサイズを使いますか?

目安として100A程度まではM6、100〜225A程度ではM8、225〜400A程度ではM10が使われることが多いですが、採用する端子台・接続部品のメーカー仕様に従ってください。

分岐バーの締め付けトルクはどれくらいですか?

ビスの材質・強度区分・座金の有無によって適正トルクが変わるため、一律の数値では答えられません。使用する接続部品メーカーが指定するトルク値に従い、記録を残すことをおすすめします。

分岐バーは図面が無くても発注できますか?

電流値・幅と厚み・穴位置の3点が分かれば、現物写真や手書きスケッチからでも相談できます。めっきの種類や取付姿勢もあわせて伝えると、より正確な見積りにつながります。

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