用途・事例

端子台の渡りバー・ショートバーを銅バーで特注する方法

端子台どうしをつなぐ「渡りバー」「ショートバー」は、電流が標準品の定格(目安で15A前後)に収まる制御回路なら、市販の黄銅(真鍮)ニッケルめっき品で十分です。しかし主回路のように電流が大きい、端子台のピッチやメーカーが混在している、渡す距離が標準品の長さを超える、といった場合は、寸法・材質・めっきを指定した銅バーの特注製作が現実的な選択肢になります。この記事では、標準品で足りるケースと特注が必要になるケース、図面に入れるべき情報、材質選定の考え方を順に整理します。

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銅バー
ショートバー
渡りバー
特注
大電流
めっき

端子台の渡りバー・ショートバーとは

渡りバー(ショートバー)とは、端子台の隣り合う端子どうしを電気的に短絡・共通接続するための帯状の導体です。

制御盤・配電盤の端子台では、同じ電位にすべき端子を1本ずつ電線で結ぶ代わりに、金属製のバーを端子台の上に渡して締め付けることで、配線本数と作業時間を減らします。この部材が「渡りバー」「ショートバー」「ジャンパーバー」などと呼ばれるものです(呼び方は業界・メーカーで揺れますが、指す物は同じです)。ブスバー(バスバー)の仲間として扱われることもありますが、ブスバーが主に大電流の幹線導体を指すのに対し、渡りバーは端子台という決まった部品の上で使う、より小さく短い導体を指す場面が多い言葉です。

使われ方としては、リレーのコイル端子どうしを共通のコモン線に束ねる、複数の入出力端子を同じ電位でまとめる、といった場面が典型です。プッシュイン式・レバー式の端子台にも専用の渡り金具が用意されていますが、こちらも標準品でカバーできるのはメーカーが定めた台数・ピッチの範囲内に限られます。範囲を外れた組み方をしたいときに、初めて特注という選択肢が出てきます。

前提

[端子台1]-[端子台2]-[端子台3]
   |          |          |
   └──── 渡りバー(銅バー) ────┘
   (3台分の端子を1本のバーで共通接続)
  

市販の渡りバー・ショートバーの一般的な仕様

項目 目安
端子ピッチ 5〜10mm前後(端子台側に合わせる)
材質 黄銅(真鍮)
表面処理 ニッケルめっき
板厚 0.5〜1mm前後
定格電流 10〜20A前後

市販の渡りバー・ショートバーの一般的な仕様

端子ピッチ

5〜10mm前後(端子台側に合わせる)

材質

黄銅(真鍮)

表面処理

ニッケルめっき

板厚

0.5〜1mm前後

定格電流

10〜20A前後

前提

上の数値はメーカー・シリーズによって幅があるため「目安」です。実際に使う端子台のカタログ記載値を必ず確認してください。この記事は、標準品の数値そのものより「標準品の枠を超えたときにどう考えるか」に主眼を置いています。

標準品では足りないケース

電流が定格を超える・ピッチが特殊・渡す距離が長い・端子台のメーカーが混在している、のいずれかに当てはまると、特注の銅バーを検討する段階に入ります。

制御回路の信号線どうしをまとめるだけなら、市販のショートバーで事足ります。特注を検討したほうがよいのは、次のような場合です。

標準品で足りる

  • 同一メーカー・同一シリーズの端子台どうし
  • 電流が定格(目安15〜20A程度)以内
  • 隣接する端子だけを短絡すればよい

特注を検討する

  • 主回路など電流が大きい(数十A〜)
  • 端子ピッチが標準品のラインナップに無い
  • 離れた端子台どうし・複数台をまたいで渡す
  • メーカーやシリーズが混在していて既製品が合わない

このうち最も多い相談は「電流が標準品の定格を超える」ケースです。市販のショートバーは板厚0.5〜1mm前後の黄銅で、断面積が小さいため、そのままでは主回路クラスの電流に耐えません。断面積を大きくする(板厚・幅を上げる)、材質を銅に変える、の両方、あるいはどちらかで対応することになります。

注意

「定格電流ぎりぎりまで使う」設計は避けてください。接続部は素線部より接触抵抗が乗る分だけ発熱しやすく、定格に対して余裕を持たせた電流値で選ぶのが実務上の基本です。具体的な余裕度は回路条件によって変わるため、盤の設計仕様(温度上昇試験の判定基準など)に照らして決めてください。

図面に入れる情報

渡りバーを特注する図面には、ピッチ・穴径・板厚・全長・材質・めっき・数量の7項目を必ず入れます。

図面・見積り依頼に必要な情報

  • 端子ピッチ(端子台の中心間距離。複数ピッチが混在する場合はその配列も)
  • 穴径・穴の形状(丸穴か、位置公差を緩めるための長穴か)
  • 板厚・幅(想定電流から逆算、または既存の許容電流の考え方を流用)
  • 全長(渡す端子台の台数・端から端までの実寸)
  • 材質(銅か黄銅か。§4で判断基準を解説)
  • 表面処理(めっきの有無・種類)
  • 数量(試作1本からでも対応可能)

図面が手元になくても、端子台の型式・使いたい端子の数・おおよその電流値が分かれば、そこから穴ピッチや板厚を一緒に詰めていくことができます。既存の丸穴の加工精度については加工技術のページも参考にしてください。長さのある渡りバーを複数枚同じ寸法で揃えたい場合は、穴ピッチのばらつきが端子への収まりに直結するため、公差の指定も忘れずに行います。

コツ

端子台のカタログに記載されている「取付ピッチ」の図と、実際に使う端子の個数・位置を書いた簡単なスケッチがあれば、正式な図面が無くても見積り検討は進められます。写真やスケッチでの相談も可能です。

材質は銅か黄銅か

電流が小さい制御回路は黄銅で十分ですが、電流が大きい・発熱に余裕を持たせたい主回路は銅を選ぶのが基本的な考え方です。

市販のショートバーに黄銅が使われているのは、加工性・コスト・強度のバランスが良く、小電流の信号接続には十分な性能があるためです。ただし黄銅の導電率は銅より明確に低く、目安として銅(C1100など)の3割前後とされています。同じ断面積であれば、黄銅は銅より電気抵抗が大きく、電流を流したときの発熱も大きくなります。

導電率の目安比較(銅=100とした場合)

銅(C1100)
100

黄銅(目安)
約28

※黄銅は合金種・製法で導電率に幅があるため「約28」は目安です。正確な値が必要な場合は使用する黄銅の材質証明を確認してください。

そのため、電流が大きくなる・盤内の温度上昇に余裕を持たせたい場合は、断面積を大きくした銅バーを選ぶのが基本的な考え方です。逆に言えば、電流が小さい信号系統まで銅で作る必要はなく、コストと調達性を考えると黄銅の標準品で十分な場面のほうが多いというのが実態です。「どちらが優れているか」ではなく「その回路の電流に対して余裕があるか」で選ぶのが実務的な判断基準になります。

断面積 (mm²) = 板厚 (mm) × 幅 (mm)

銅バーの断面積と許容電流のおおまかな関係は、通常のブスバーと同じ考え方で見積もれます。具体的な早見表はブスバーとはのページでも触れているので、渡りバーの板厚・幅を決める際の参考にしてください。渡りバーは端子台の取付面という限られたスペースに収める必要があるため、幅を広げにくい分、板厚を厚くして断面積を確保する組み方になるケースが多くなります。

大電流化する用途での注意点

電流が大きい渡りバーでは、締結トルクの管理と接続面の状態が、断面積の設計以上に発熱に効いてきます。

2026年時点では、蓄電池・データセンター向けの受配電設備で扱う電流値が大きくなる傾向が続いており、標準品の端子台・ショートバーの定格では足りず、盤メーカー側で銅バーへの置き換えを検討する相談が増えています。断面積を大きくして電流容量を確保しても、締結部の接触抵抗が大きいと発熱してしまう点は変わりません。

前提

接続部の発熱は、断面積(設計)だけでなく、接触面の面積・締め付けトルク・表面処理の状態で決まります。詳しい発熱のメカニズムは接触抵抗の記事も参考にしてください。

注意

複数の渡りバーを長い距離にわたって取り付ける場合、温度による伸縮を吸収できないと、端子台や取付台に無理な力がかかることがあります。長尺になる渡りバーでは、固定方法とあわせて検討してください。

表面処理は、接続部の腐食・接触抵抗の変化を防ぐ役割があります。銅バーへのめっきの種類と選び方は銅ブスバーへのめっきのページで解説しているので、渡りバーの特注でも同じ考え方が使えます。

発注から納品までの流れ

図面が無くても、端子台の型式・個数・電流値が分かれば相談でき、試作1本からの製作にも対応できます。

相談から納品までの進め方

  • 使いたい端子台の型式・台数・おおよその電流値を伝える
  • 図面がなければ、手書きスケッチや端子台カタログの図に必要な情報を書き込んで送る
  • 材質(銅/黄銅)・板厚・めっきを、電流と設置環境に合わせて一緒に決める
  • 試作1本で寸法・収まりを確認してから、必要数量を発注する

当社では切断・穴あけ・曲げ・めっき手配までを一貫で対応しており、渡りバーのような小物の特注品も、既存のブスバー加工と同じ体制で製作しています。

よくあるご質問

銅バーの渡りバーは何アンペアまで対応できますか?

上限は板厚・幅・設置条件によって変わるため一律の数値はありませんが、断面積を大きくすれば市販のショートバー(目安15〜20A程度)を超える主回路クラスの電流にも対応できます。想定電流と設置環境を伝えていただければ、必要な断面積から相談できます。

端子台のメーカーやシリーズが違っても渡りバーは作れますか?

作れます。異なるメーカー・シリーズの端子台が混在している場合でも、それぞれのピッチと穴位置を図面かスケッチで指定していただければ、1本の特注バーとして製作できます。

めっきは何を選べばいいですか?

屋内の一般的な盤内環境であれば錫めっきやニッケルめっきが広く使われます。腐食環境や接触抵抗の要求が厳しい場合は仕様に応じた種類を選ぶ必要があるため、設置場所の環境を教えていただければ提案します。

小ロット・1個からでも作れますか?

1個・試作からでも対応可能です。まず1本で端子台への収まりを確認してから、必要数量を発注する進め方もできます。

図面がなくても相談できますか?

相談できます。端子台の型式・使いたい端子の個数・おおよその電流値が分かれば、手書きスケッチや写真からでも寸法を詰めていけます。

銅ブスバーの加工・お見積りは、お気軽にご相談ください

図面1枚から、手書きスケッチや現物の写真でもご相談いただけます。試作・小ロット・短納期にも対応しています。

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