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ブスバーの相間短絡はなぜ起きる?小動物侵入と対策を解説

盤内でブスバー(バスバー)の相間短絡が起きる原因の一つに、ヘビ・ネズミ・ヤモリ・ムカデなどの小動物や虫の侵入があります。絶縁距離を確保した設計でも、動物が相間に橋渡しすれば短絡は起きます。この記事では、侵入経路の特定方法、対策部材の選び方、既存設備への後付け対策までを、設計時点で確認しておきたい項目として整理します。

相間短絡
小動物侵入
キュービクル
絶縁バリア
波及事故
ブスバー
バスバー

なぜ小動物がブスバーの相間短絡を起こすのか

動物の体は導電性を持つため、離れた相間に触れると導体の橋渡しとなり短絡電流が流れます。特に濡れた体表や金属質の鱗は抵抗が低く、瞬時に大電流を通します。

ブスバー(バスバー)は絶縁距離・沿面距離を確保して設計されていますが、この距離は「空気中で放電しない距離」を基準にしたものであり、「動物が物理的に触れられない距離」ではありません。ヘビやネズミは体を伸ばして相間に架橋できるため、設計上の絶縁距離だけでは短絡を防げない場面があります。

前提

相間短絡とは、本来絶縁されているべき異なる相のブスバー(バスバー)同士が導電体を介してつながり、短絡電流が流れる事故です。動物接触のほか、工具の置き忘れ、金属粉の堆積でも起こりえますが、屋外・半屋外設置のキュービクルでは動物接触が主要因の一つとして報告されています。なお、動物の体が相と大地(筐体・接地部)の間を橋渡しした場合は「地絡」、相と相の間を橋渡しした場合は「相間短絡」と区別されます。どちらも動物接触が起点になり得るため、対策の考え方は共通です。

高圧設備の波及事故 原因の内訳(四国電気保安協会・過去5年間の例)

自然現象(雷)
40%

自然劣化
22%

鳥獣接触
10%

その他
28%

この内訳は四国電気保安協会が公開している管内データの一例であり、地域・設備条件によって割合は変わります。ただし、雷・自然劣化に次いで鳥獣接触が主要因として挙げられている点は、他地域の電気保安協会が公開する事故事例でも共通して見られる傾向です(2026年時点)。「発生確率は低いが、起きると波及事故につながる」という位置づけで対策を検討するのが実務的です。

侵入経路になりやすい場所

動物はケーブル引込口・通気孔・腐食した接合部の隙間から侵入します。10mm程度の隙間があれば侵入できる種もいます。

代表的な侵入経路

  • ケーブル引込口・引出口のシール未処理箇所
  • 換気用の通気孔(メッシュが粗い・破損)
  • 基礎とキュービクル底面の隙間
  • 経年で腐食・変形した外板の隙間
  • 扉のパッキン劣化箇所

侵入しやすい動物・虫

  • ヘビ(体を細くして隙間を通る)
  • ネズミ(数mmの隙間から侵入)
  • ヤモリ・カエル(湿気を求めて侵入)
  • ムカデ・クモなどの虫類

注意

「屋内設置だから大丈夫」とは限りません。工場・倉庫内に設置されたキュービクルでも、床下配管やケーブルダクトを伝って侵入する事例が報告されています。屋外・屋内を問わず、開口部の処理状態を点検対象にする必要があります。

実際に報告されている事故のパターン

電気保安協会の事例報告では、腐食箇所からのヘビの侵入による相間短絡や、通気孔からのムカデ・ネズミの侵入による地絡・短絡が繰り返し報告されています。

四国電気保安協会や九州電気保安協会など各地の電気保安協会が公開している事故事例では、キュービクル内に侵入したヘビが高圧開閉器(LBS)などの充電部に接触し、相間に絶縁バリアが無かったために短絡事故に至ったケースが紹介されています。経済産業省管轄の産業保安監督部が公表する電気事故報告でも、鳥獣接触による波及事故は毎年一定数発生しており、雷・自然劣化に次ぐ原因として扱われることが多い状況です(2026年時点でも同様の傾向が各地の保安協会から報告されています)。

コツ

「相間バリアの有無」は事故の被害規模を左右します。動物の侵入自体を完全にゼロにすることは難しいため、侵入されても短絡に至らない構造(バリア・カバー)をセットで考えるのが実務的な対策です。

対策1:侵入させない(開口部の処理)

通気孔は10mm以下の穴を1mmメッシュ程度の金網で塞ぎ、ケーブル引込口はパテやブッシングで隙間なく処理します。

開口部対策のチェック項目

  • 通気孔:金網の目合いが粗くなっていないか、破損・腐食していないか
  • ケーブル引込口・引出口:パテやシーリングに隙間・劣化がないか
  • キュービクル底面と基礎の間:動物が通れる隙間ができていないか
  • 扉・点検口のパッキン:劣化して密着していない箇所がないか
  • 外板の腐食箇所:穴が空いていないか(特に塩害地域・海沿い)

対策2:侵入されても短絡させない(相間バリア)

開閉器やブッシングを相間バリア付きの構造にすることで、動物が侵入しても相間を架橋しにくくなります。既存設備には後付けの絶縁カバーで対応できます。

対策部材の例と目的

対策部材 設置箇所 目的
相間バリア付き開閉器(DS/LBS) 高圧開閉器 相間の物理的な絶縁隔壁
ブッシング絶縁カバー 変圧器・コンデンサ端子 充電部の露出を減らす
絶縁シート・熱収縮チューブ ブスバー(バスバー)接続部 導体表面の直接露出を減らす
侵入防止忌避剤(唐辛子成分等) キュービクル周囲・開口部 動物を寄せ付けない
粘着シート キュービクル内床面 侵入した個体を早期に捕捉

対策部材の例と目的

相間バリア付き開閉器(DS/LBS) / 高圧開閉器

目的:相間の物理的な絶縁隔壁

ブッシング絶縁カバー / 変圧器・コンデンサ端子

目的:充電部の露出を減らす

絶縁シート・熱収縮チューブ / ブスバー(バスバー)接続部

目的:導体表面の直接露出を減らす

侵入防止忌避剤 / キュービクル周囲・開口部

目的:動物を寄せ付けない

粘着シート / キュービクル内床面

目的:侵入した個体を早期に捕捉

補足

当社で取り扱う銅ブスバーへのめっきや絶縁粉体塗装は、接続部の導体表面を保護する加工であり、動物接触そのものを防ぐものではありませんが、万一の接触時に絶縁層があることで短絡・地絡のリスクを下げる効果が期待できます。相間バリアや開口部対策とあわせて検討すると、盤内全体の耐性が上がります。

新設と既存設備で対策の考え方は変わるか

新設ではメーカー標準品で相間バリア付き機器を選定できますが、既存設備は後付けの絶縁カバーや開口部の再処理で対応することになります。

新設時にできること

  • 相間バリア付きの開閉器・機器を標準選定する
  • 通気孔の目合い・位置を設計段階で決める
  • ケーブル引込口の防水・防獣処理を仕様に含める

既存設備でできること

  • 絶縁カバー・絶縁シートを後付けで追加する
  • 通気孔の金網を交換・目合いを細かくする
  • 周囲の除草・忌避剤設置で寄り付きにくくする
  • 定期点検で腐食箇所・隙間の有無を確認する

注意

ブスバー(バスバー)の接続部に絶縁カバーや熱収縮チューブを追加する場合、締結部の増し締め点検や放熱への影響を考慮する必要があります。既存設備に後付けする際は、電気保安協会や設備メーカーに相談したうえで、通電状態への影響がないことを確認してから施工してください。

点検で確認しておきたいポイント

年次点検や日常巡視の際に、開口部の隙間・金網の破損・忌避剤の効果切れ・動物の痕跡(糞・抜け殻)を確認することが早期発見につながります。

  • 通気孔・ケーブル引込口の金網やパテに隙間・劣化がないか
  • キュービクル内外に動物の痕跡(糞、脱皮殻、巣材)がないか
  • 忌避剤を設置している場合、効果期限が切れていないか
  • 相間バリア・絶縁カバーが脱落・破損していないか
  • 周囲の除草状態(草木が繁茂すると動物が寄り付きやすくなる)

設置環境によってリスクの高さは変わるか

屋外設置で草木や水路に近い環境、更新が長期間行われていない旧型設備は、動物の侵入リスクが相対的に高くなります。

設置環境別に見た注意点

設置環境 リスクが高まりやすい要因
工場・倉庫の屋外キュービクル 周辺の除草不足、経年による外板腐食
変電所・受電設備(郊外・山間部) 草木・水路が近く動物の生息域に隣接
蓄電池・EV充電インフラの盤 比較的新しい設備でも開口部の防獣処理が仕様に含まれていない場合がある
データセンターの受配電設備 屋内設置が多いが床下配線ルートからの侵入経路に注意

設置環境別に見た注意点

工場・倉庫の屋外キュービクル

周辺の除草不足、経年による外板腐食

変電所・受電設備(郊外・山間部)

草木・水路が近く動物の生息域に隣接

蓄電池・EV充電インフラの盤

比較的新しい設備でも開口部の防獣処理が仕様に含まれていない場合がある

データセンターの受配電設備

屋内設置が多いが床下配線ルートからの侵入経路に注意

近年は蓄電池や太陽光発電の受配電設備が郊外・山間部に新設される例が増えていますが、設置を急ぐ案件では開口部の防獣処理まで仕様に落とし込まれていないことがあります。新設時の機器仕様や施工図の段階で、通気孔・引込口の処理方法を確認しておくと、稼働後の対策工事を減らせます。

よくあるご質問

ブスバーの相間短絡は絶縁距離を確保していれば起きませんか

絶縁距離は空気中での放電を防ぐための距離であり、動物が体を伸ばして物理的に接触することまでは防げません。絶縁距離の確保に加えて、相間バリアや開口部からの侵入防止対策をあわせて行う必要があります。

小動物による事故はどのくらいの頻度で起きていますか

経済産業省の産業保安監督部や各地の電気保安協会が公表する事故報告では、鳥獣接触による波及事故は雷・自然劣化に次いで一定の割合を占める原因として毎年報告されています。屋外・半屋外設置の設備では継続的な注意が必要です。

屋内設置のキュービクルでも対策は必要ですか

屋内設置でも、床下配管やケーブルダクトを伝って動物が侵入する事例が報告されています。設置場所にかかわらず、開口部の処理状態を点検対象に含めることをおすすめします。

既存のキュービクルに後付けできる対策はありますか

通気孔の金網交換、ケーブル引込口のパテ処理、充電部への絶縁カバーの追加、周囲への忌避剤設置などは既存設備にも後付けで実施できます。施工前に電気保安協会や設備メーカーへ相談し、通電状態への影響がないことを確認してください。

ブスバーの接続部を絶縁処理すれば動物対策になりますか

絶縁シートやめっき・絶縁粉体塗装は接触時のリスクを下げる効果は期待できますが、動物の侵入自体を防ぐものではありません。開口部の物理的な閉塞と組み合わせて初めて対策として機能します。

盤内のブスバー(バスバー)を動物接触による短絡から守るには、「侵入させない」開口部対策と、「侵入されても短絡させない」相間バリア・絶縁対策の両輪が必要です。新設時は機器選定の段階で、既存設備は点検のタイミングで、どちらが手薄になっていないかを確認してください。銅ブスバーの加工やめっき・絶縁仕様についてのご相談は当社までお気軽にお問い合わせください。

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