銅ブスバーの重量計算方法|比重8.89の早見表と使い方
銅ブスバー(バスバー)の重量は、板厚・幅・長さの3つの寸法さえ分かれば、電卓一つで計算できます。この記事では、比重8.89を使った基本の計算式と、代表寸法の早見表、そして重量が支持設計・輸送方法・材料費見積りの3つの実務にどう効いてくるかをまとめます。2026年9月時点の銅相場の動向も含め、発注前に確認しておきたい数値を整理しました。
銅ブスバー
重量計算
比重
早見表
JIS H3100
材料費見積り
なぜ銅ブスバーの重量計算が必要か
銅ブスバーの重量は、支持金具の強度設計・輸送方法の判断・材料費見積りの3つに直結するため、発注前に必ず計算しておく数値です。
重量計算が効く3つの場面
- 支持設計 … 自重によるたわみ量、支持金具・碍子の強度選定に影響する
- 輸送・搬入 … 人力で運べる重さか、クレーンやフォークリフトが要るかの判断材料になる
- 材料費見積り … 銅は重量単価(円/kg)で取引されるため、正確な重量が見積り精度を左右する
詳しくは後述の「重量が効く3つの実務場面」で扱いますが、まずは計算の基本を押さえます。
重量計算の基本式(比重8.89)
銅ブスバーの重量は「板厚(mm)×幅(mm)×長さ(mm)×8.89÷1,000,000」で求まります。1mあたりの重量なら「板厚×幅×8.89÷1,000」だけで計算できます。
銅の比重は実務では8.89(g/cm³)を使うのが一般的です。日本伸銅協会の技術資料でも銅・銅合金の比重値が定められており、資料によって8.89〜8.94の範囲で示されることがありますが、ブスバーの重量計算では8.89(密度8,890kg/m³)を使えば十分な精度が得られます。
重量計算の手順
- 手順1:図面またはミルシートで板厚(mm)を確認する
- 手順2:幅(mm)を確認する(定尺の場合はメーカーの標準幅を確認)
- 手順3:使用する長さ(mm)を確定する
- 手順4:板厚×幅×長さに比重8.89を掛けて1,000,000で割る
全長の重量(kg) = 板厚(mm) × 幅(mm) × 長さ(mm) × 8.89 ÷ 1,000,000
計算例
板厚6mm×幅100mmの銅ブスバーを3mの長さで使う場合。
1mあたり:6×100×8.89÷1,000 = 5.334kg/m
全長3m分:5.334kg/m × 3m = 16.0kg
板厚・幅ごとの重量早見表
代表的な板厚・幅の組み合わせでは、1mあたりの重量はおよそ0.7kg〜21kgの範囲になります。手元の寸法が表に無い場合は、上の計算式にそのまま当てはめれば求められます。
板厚×幅ごとの重量早見表(1mあたり)
| 板厚 | 幅 | 断面積 | 重量(kg/m) |
|---|---|---|---|
| 3mm | 25mm | 75mm² | 0.667kg/m |
| 5mm | 50mm | 250mm² | 2.223kg/m |
| 6mm | 100mm | 600mm² | 5.334kg/m |
| 8mm | 100mm | 800mm² | 7.112kg/m |
| 10mm | 150mm | 1,500mm² | 13.335kg/m |
| 12mm | 200mm | 2,400mm² | 21.336kg/m |
板厚×幅ごとの重量早見表(1mあたり)
板厚3mm / 幅25mm / 断面積75mm²
重量 0.667kg/m
板厚5mm / 幅50mm / 断面積250mm²
重量 2.223kg/m
板厚6mm / 幅100mm / 断面積600mm²
重量 5.334kg/m
板厚8mm / 幅100mm / 断面積800mm²
重量 7.112kg/m
板厚10mm / 幅150mm / 断面積1,500mm²
重量 13.335kg/m
板厚12mm / 幅200mm / 断面積2,400mm²
重量 21.336kg/m
コツ
許容電流とあわせて寸法を検討する場合は、ブスバーとはのページで基礎知識を確認したうえで、断面積から必要な重量・支持間隔を逆算すると設計がスムーズです。
重量が効く3つの実務場面
重量の数値そのものより、「支持設計」「輸送」「材料費見積り」のどこで使うかを意識すると、計算の精度をどこまで詰めるべきかが見えてきます。
支持設計:自重によるたわみ
盤内でブスバーを水平に渡す場合、自重によるたわみが支持間隔を決める要素の一つになります。板厚・幅が大きく重量が増えるほど、同じ支持間隔でもたわみ量は大きくなるため、重量計算は支持金具や碍子の選定・配置間隔の検討に直結します。例えば板厚6mm×幅100mm(5.334kg/m)を支持間隔1mで渡す場合と、支持間隔0.5mで渡す場合とでは、区間ごとにかかる自重の絶対量が変わり、支持金具に求める強度も変わります。短絡時の電磁力による荷重とあわせて、常時かかる自重も設計条件に含めて確認してください。
輸送・搬入:人力で運べる重さか
定尺(2m〜4m程度)の銅ブスバーは、板厚・幅によっては1本で10kgを超えることがあります。上の早見表で長さ分の重量を計算しておけば、現場への搬入が人力で足りるか、台車やクレーンが必要かを事前に判断できます。特に厚板・幅広の材料を複数本まとめて搬送する場合は、総重量を積み上げて確認しておくと、納品時の手配ミスを防げます。盤1面あたり何本のブスバーを使うかが決まっている場合は、1本の重量に本数を掛けて総重量を出し、荷姿(パレット・木箱など)と搬入経路の耐荷重もあわせて確認しておくと安心です。
タフピッチ銅(C1100)
- 比重は8.89前後(実務上はC1020とほぼ同じ)
- 導電性・加工性に優れ、ブスバーで最も広く使われる材質
無酸素銅(C1020)
- 比重は8.89前後(C1100と重量計算上の差はほとんど無い)
- 水素脆化を避けたい高信頼用途で選ばれる
どちらの材質を選んでも、重量計算式そのものは比重8.89を使って共通で扱えます。材質選定の詳しい基準は別記事で扱っているため、重量計算では「材質による差はほぼ無い」という前提で進めて差し支えありません。
材料費見積り:銅は重量単価で取引される
銅は「円/kg」の重量単価で取引されるため、正確な重量計算がそのまま見積り精度につながります。板厚・幅・長さから重量を出し、単価を掛ければ材料費の概算が把握できます。
2026年9月時点の銅相場
2026年9月時点でLME銅は14,000ドル台/トン(円換算でおよそ2,270円/kg前後)まで上昇しており、2024年の水準を明確に上回っています。銅建値は日々変動するため、見積り依頼時は「見積りの有効期限」と「材料スライド(値上がり時の価格調整)」の取り決めを確認しておくと、発注後の価格差トラブルを避けられます。
定尺と歩留りの注意
銅ブスバーは定尺(2m〜4m程度)から必要な長さを切り出して加工するため、計算した重量がそのまま材料費に反映されるとは限りません。定尺に対して半端な長さしか使わない場合、端材分の歩留りロスが単価に上乗せされることがあります。見積り依頼の際は、必要本数・長さをまとめて伝えると、板取りを工夫してもらいやすくなります。
材料証明やロット管理の考え方も含めた発注実務は、品質管理のページも参考にしてください。
計算値と実測がずれる理由
計算上の重量と実際の重量がわずかにずれるのは、JIS H3100が板厚に許容差(公差)を定めているためです。正確な数値が必要な場合はミルシートの実測値を確認します。
注意
JIS H3100(銅及び銅合金の板及び条)は、公称の板厚に対して一定の許容差を認めています。そのため「板厚×幅×長さ×8.89」で出した計算値は、あくまで公称寸法をもとにした目安であり、実際に納品される材料の実測重量とは数%程度ずれることがあります。厳密な重量管理が必要な用途(輸送重量の上限管理など)では、計算値だけで判断せず、ミルシート(材料証明書)に記載された実測値や、実際の計量結果で確認してください。
ミルシートの読み方や、発注時に材料証明を依頼する方法は別途整理しています。材質による重量差はほとんどありませんが、タフピッチ銅(C1100)・無酸素銅(C1020)のどちらでも、比重8.89を使った計算式は共通して使えます。
銅とアルミの重量比較(参考)
同じ体積で比べると、アルミの重量は銅のおよそ3割です。ただし同じ電流を流すにはアルミ側の断面積を大きくする必要があるため、単純な重量比較だけで材料を選ぶことはできません。
同一体積での重量比較(銅=100%)
コツ
「軽くしたいからアルミに」という判断は早計です。同じ電流を流すにはアルミの断面積を銅よりも大きくする必要があり、結果として重量差が縮まったり、接続部の設計変更が必要になったりします。材料選定の判断基準は、銅ブスバーのメリットのページで導電率とあわせて確認してください。
よくあるご質問
銅ブスバーの重量はどう計算しますか?
板厚(mm)×幅(mm)×長さ(mm)×8.89÷1,000,000で全長の重量(kg)が求まります。1mあたりの重量なら、板厚(mm)×幅(mm)×8.89÷1,000で計算できます。
銅の比重はいくつを使えばよいですか?
実務では8.89を使うのが一般的です。資料によっては8.89〜8.94の範囲で示されることもありますが、ブスバーの重量計算では8.89で十分な精度が得られます。
計算した重量と実際の重量がずれるのはなぜですか?
JIS H3100が板厚に許容差を定めているため、公称寸法での計算値と実測重量には数%程度の差が生じることがあります。厳密な管理が必要な場合はミルシートの実測値を確認してください。
銅とアルミではどちらが軽いですか?
同じ体積で比べるとアルミは銅のおよそ3割の重さです(比重2.70と8.89)。ただし同じ電流を流すにはアルミ側の断面積を大きくする必要があるため、単純な重量比較だけでは判断できません。
重量計算はなぜ発注前に必要ですか?
支持金具のたわみ・強度設計、輸送方法(人力かクレーンか)の判断、材料費の見積り精度という3つの実務に直結するためです。特に銅は重量単価で取引されるため、見積り依頼の前に重量を把握しておくと話が早く進みます。
